Q41:海外の著作権法の所管省庁ってどうなっているの?

:オレ、誰でも知っているコンピュータ機器メーカーに勤めてんだけど、ずっと納得行かないことがあるんだよなあ。

それは「私的録音録画補償金制度」。音楽のデジタル録音で作曲家だか作詞家だかが著作権を侵害されているという難クセのせいで、オレ様の会社が作っている内蔵型音源ダウンロード機器に著作権料を課金するとかって言ってんだよ。ただでさえ、製品の値引き合戦が激しいこのご時勢にさあ。補償金制度なんかなくたって、画期的な課金システムを整備しているんだから、いらねーんだしよ。

文化庁はこんな愚策を法制化しようとしている日本の著作権法の所管官庁なわけだが、はっきり言ってよ、文化庁なんて文化財保護やら宗教法人制度なんていう古臭いものを扱っている官庁なんだから、著作権なんていう先進的な法律を扱えるわけはないんだよな。

ちゅうことでさあ、オレ様としては、日本の著作権法の所管省庁を文化庁から、どこかふさわしい省庁に移管すべきであると考えているところだ。そこで先進国ではどこの省庁が著作権法を所管しているのかを教えてほしい。文化庁が所管しているのは日本くらいなんだろうなあ、きっと。

:まずは、てめえの会社がどれだけボロ儲けしているのか、そして課金システムとやらがどのようなからくりで機能しているのかを情報公開してから、質問してほしいものだな。

著作権制度の諸外国の所管省庁についてだが、「先進国」だなんてケチなことを言わずに、全世界を見る必要があるだろうな。以下に、可能な範囲で確認できた国・地域の所管省庁名と、著作権関係の法律名(確認できたもののみ)を、国名のアルファベット順で列記するので見てほしい。なるべく原典に当たる必要があることから、できる限り当該国のURLをリンクした。もちろん言語は英語が基本だがCRIC(著作権情報センター)の邦訳がある法律については付記)、なかにはフランス語・スペイン語・アラビア語・中国語などもある。その点は、お前らの語学能力で克服してほしい。

アフガニスタン 情報文化省

アルバニア  観光文化青少年スポーツ省著作権局

アルジェリア 著作権・著作隣接権事務局

アンドラ 商標事務局 著作権・著作隣接権法案

アンゴラ 文化省文化産業国家委員会エンタテインメント・著作権理事会

アンティグア・バーブーダ 知的財産権・通商事務局

アルゼンチン 著作権局 1933928日知的財産法

アルメニア 経済省知的財産庁

オーストラリア 司法省民事司法・法務グループ分類・人権・著作権課著作権法担当 1968年連邦著作権法 (CRICサイト)

オーストリア  法務省民事局第1部第4課  1936年4月連邦著作権・著作隣接権法

アゼルバイジャン 著作権庁 著作権・隣接権法

バハマ 登録官事務局 

バーレーン 情報省報道・出版担当副長官事務局 2001年著作権・著作隣接権法案

バングラデシュ 文化省著作権登録局 

バルバドス 企業・知的財産局 1998年著作権法

ベラルーシ 国家知的財産センター 1998年8月11日著作権・著作隣接権法

ベルギー 法務省立法・自由基本法統括局民事・資産法担当 1994年著作権法WIPO英語版サイト

ベリーズ 知的財産庁

ベニン 文化省手工芸・観光・著作権局 Law No. 84-008, March 1984

ブータン 経済省知的財産局著作権課

ボスニア・ヘルツェゴビナ 知的財産庁 著作権・著作隣接権法

ボツワナ 通商産業省企業・ビジネスネーム・商標・特許・意匠登録局

ブラジル 文化省著作権調整担当局 著作権法

ブルネイ 司法長官事務局 ブルネイ・ダルサラーム憲法第83条3項に基づく1999年著作権緊急令

ブルガリア 文化省著作権課

ブルキナ・ファソ 文化・コミュニケーション省長官官房著作権課

ブルンジ 青少年・スポーツ・文化省芸術・文化部 1978年5月著作権制度令

カンボジア 文化芸術省 著作権・隣接権法

カメルーン 文化省法務局WIPO調整官

カナダ 産業省カナダ知的財産局 著作権法

カーボベルデ 文化省

中央アフリカ 観光・芸術・文化省中央アフリカ著作権局

チャド チャド著作権局

チリ 図書館・文書館・美術館管理局知的財産登録官

中華人民共和国 国家版権局(新聞出版総署) 中華人民共和国著作権法(CRICサイト)
香港特別行政区政府 知識産権署
中華民国 経済部智慧財産局著作権組 著作権法(英訳) 著作権法(CRICサイト) 

コロンビア 内務司法省特別行政局国家著作権管理官

コモロ連合 内務省情報出版局

コンゴ共和国 文化芸術観光省コンゴ著作権局

コスタリカ 国家著作権・著作隣接権登録局

コートジボワール フランス語・文化省象牙著作権局

クロアチア 国家知的財産局

キューバ 文化省国家著作権センター

キプロス 通商産業観光省企業登録・財産管理局

チェコ 文化省著作権局

朝鮮民主主義人民共和国 発明局・リョンソン特許事務所

コンゴ民主共和国 文化芸術省

デンマーク 文化省著作権局 2006年著作権統合法(英語版)

ジブチ コミュニケーション・文化省郵便通信担当広報官

ドミニカ国 企業知的財産局

ドミニカ共和国 産業通商長官国家著作権局 2000年8月21日著作権法 2001年3月14日著作権施行令

エクアドル 知的財産局

エジプト 文化省最高文化評議会著作権保護常設局

エル・サルバドル 国家登録センター Legislative Decree No. 808 of 16 February 1994 on Books

赤道ギニア 大統領府科学技術研究会議

エリトリア 情報・文化省文化局

エストニア 文化省

エチオピア 知的財産局著作権管理官

フィジー 司法長官事務局

フィンランド 教育省文化・スポーツ・青少年局文化政策課著作権室 著作権法(FINLEX英語版)FINLEXフィンランド語版

フランス 文化・コミュニケーション省事務総局法制官付著作権室 知的所有権法典に関する1992年7月1日の法律(CRICサイト)フランス語版:LEGIFRANCE)(英語版:LEGIFRANCE

ガボン 文化芸術省国家芸術文化促進庁

ガンビア 芸術文化国家センター著作権局

グルジア 国家知的財産センター 著作権・著作隣接権法

ドイツ 法務省第3局ⅢB3    1965年著作権及び隣接権法(CRICサイト)ドイツ語版:ドイツ法務省

ガーナ 文化省著作権局

ギリシア 文化省著作権局  1993年著作権・著作隣接権・文化事項法(英訳)

グレナダ 最高裁判所事務局登録局

グアテマラ 知的財産登録局著作権・著作隣接権課

ギニア 青少年・スポーツ・文化省著作権局

ギニアビサウ 青少年・文化・スポーツ省文化・スポーツ管理官著作権局

ガイアナ 捺印証書登録所

ハイチ 文化・コミュニケーション省著作権局

バチカン市国 バチカン市国法制局

ホンジュラス 知的財産事務局

ハンガリー 特許庁法制国際局著作権課

アイスランド 教育科学文化省 1972年著作権法

インド 人的資源開発省中等高等教育局 1957年著作権法CRICサイト

インドネシア 法務人権省知的財産権局

イラン 文化イスラム指導省著作権登録官

アイルランド 企業・貿易・雇用省科学技術・知的財産局知的財産ユニッ 2000年著作権法(WIPOサイト)

イスラエル 法務省顧問 1911年著作権法

イタリア 文化財・文化活動省文化財書籍財著者部局Ⅳ課 著作権および著作隣接権の保護に関する法律(1941年4月22日の法律第633号)CRICサイト

ジャマイカ 産業投資通商省知的財産局 著作権法

日本 文化庁長官官房著作権課・国際課 著作権法

ヨルダン 文化省国立図書館局著作権課 

カザフスタン 司法省知的財産権委員会

ケニア 司法長官府登録局

クウェート 情報省

キルギス 国家特許庁 著作権・著作隣接権法(英語版)

ラオス 情報文化省国家委員会

ラトビア 文化省著作権著作隣接権局

レバノン 経済貿易省知的財産保護局 文芸芸術財産保護法

レソト 法律憲法省

リベリア 財務省著作権局 1972年特許・著作権・商標法

リビア   人民委員会科学研究局

リヒテンシュタイン 貿易交通知的財産局 1999年著作権著作隣接権法

リトアニア 文化省著作権局 

ルクセンブルグ 経済海外通商省知的財産局

マダガスカル 情報・文化・コミュニケーション省著作権局 文芸芸術財産法

マラウイ マラウイ著作権協会 1989年著作権法

マレーシア 国内取引消費者行政省知的財産公社 1987年著作権法

マリ 文化・コミュニケーション省著作権局

マルタ 財政経済投資省通商局産業財産権登録課 2000年著作権法

モーリタニア 文化イスラム指導省文化局文化協力・知的財産部

モーリシャス 教育文化人的資源省常設局 1997年著作権法

メキシコ 公共教育省国家著作権局 連邦著作権法

モナコ 財政経済省経済拡大局知的財産課 

モンゴル モンゴル知的財産局

モロッコ 政府広報官(コミュニケーション省所管下の民間団体)

モザンビーク 文化省書籍・文書記録局著作権課

ミャンマー 内務省

ナミビア 情報放送省著作権局

ナウル 司法省特許商標著作権登録局

ネパール 文化・国家再建省著作権登録局 2002年著作権法

オランダ 法務省立法局 1912年著作権法 (オランダ法務省非公式英訳)

ニュージーランド 経済発展省知的財産局 1994年著作権法

ニカラグア 通商産業振興省市場競争透明化局知的財産登録課著作権著作隣接権室 著作権法(WIPOサイト)

ニジェール 青少年・スポーツ・文化省著作権局

ナイジェリア 情報・文化省著作権委員会

ノルウェー 文化・教会省 1961年文芸学術芸術著作物財産権関連法

オマーン 通商産業省

パキスタン 知的財産庁著作権局

パラオ 資源発展省

パナマ 教育省著作権局

パプア・ニューギニア 司法長官事務局

ペルー 産業・観光・統合・国際貿易取引省競争・知的財産保護局

フィリピン 大統領府知的財産局 知的財産法典、権限・機能の付与、その他の目的のための知的財産局設立を命じる法律(共和国法第8293号)

ポーランド 文化・国家遺産省法制部

ポルトガル 文化省著作権著作隣接権局

カタール 経済通商省著作権局

大韓民国 文化体育観光部文化コンテンツ産業室著作権産業課 著作権法(CRICサイト)

モルドバ 知的財産庁 著作権著作隣接権保護法

ルーマニア ルーマニア著作権局

ロシア 知的財産・特許・商標庁 著作権著作隣接権法

ルワンダ スポーツ・文化省 

セントクリストファー・ネイビス 最高裁判所登録官

セントルシア 企業・知的財産権登録局

セントビンセントおよびグレナーディン諸島 通商・知的財産登録局

サモア独立国 法務裁判運営省

サンマリノ 外務省経済社会局

サントメ・プリンシペ 教育・文化・青少年・スポーツ省

サウジアラビア 文化・情報省著作権総局 著作権法(日本貿易振興機構リヤド事務所 和訳:2003年8月)

セネガル 文化・遺産・歴史・国語・フランス語圏省著作権局

セルビア 知的財産庁著作権著作隣接権局 2004年著作権著作隣接権法(英訳)

セーシェル共和国 芸術・スポーツ・文化省芸術・文化局国家遺産課国際協力ユニット

シエラレオネ 文化観光省文化局知的財産課

シンガポール 法務省知的財産局

スロバキア 文化省メディア・著作権局 2003年著作権著作隣接権法

スロベニア 経済省知的財産局

ソロモン諸島 警察司法省登録官事務局

南アフリカ 貿易産業省企業・知的財産登録局 1978年著作権法

スペイン 文化省知的財産局 1996年著作権法

スーダン 文化・青少年・スポーツ省文芸芸術作品最高委員会

スリナム 知的財産局

スワジランド 司法憲法省登録官事務局

スウェーデン 法務省知的財産・交通法局 1960年著作権法

スイス 知的財産局法制・国際部著作権法担当 1993年4月26日著作権・著作隣接権保護に関する指令

シリア 文化省著作権局

タジキスタン 文化省著作権著作隣接権庁

タイ 通商省知的財産局 1994年著作権法

マケドニア旧ユーゴスラビア 文化省著作権著作隣接権保護局

トーゴ 文化・青少年・スポーツ省著作権局 1991年著作権・フォークロア・著作隣接権保護法

トンガ 労働通商産業省 2002年著作権法

トリニダード・トバコ 法務省知的財産局

チュニジア 著作権保護局

トルコ 文化省著作権・映画総局

ウガンダ 司法憲法省登録局

ウクライナ 教育科学省著作権著作隣接権庁  1993年著作権著作隣接権法

イギリス イノベーション・大学・技能省知的財産庁 1988年著作権・意匠及び特許法CRICサイト

タンザニア 経済貿易省ビジネス登録・ライセンス庁著作権局

アメリカ合衆国 議会図書館著作権局 1976年著作権法 (CRICサイト)

ウルグアイ 教育文化省著作権委員会 

ウズベキスタン 著作権庁 (英語版ポータルサイト)

バヌアツ 金融サービス委員会 (音が出るので注意)

ベネズエラ 司法省知的財産自治総局著作権管理官

ベトナム 科学技術省著作権局 ベトナム著作権関連法(英語版) ベトナム知的財産法典(抄)(CRICサイト) ベトナム社会主義国民法典(抄)(CRICサイト)

イエメン 文化省

ザンビア 情報放送省著作権局

ジンバブエ 司法法制議会省特許商標意匠局 著作権著作隣接権法(Chapter 26:08)

WIPOウェブサイト"Member States"などを参照】

以上の各国(179カ国2地域)の所管省庁を分類別に集計すると、下記のようになる。

①文化・教育・科学技術・著作権系 86カ国

②産業・通商・知的財産系 51カ国2地域

③法務・司法・裁判所・登記所系 30カ国

④内務・情報出版統制系 5カ国

⑤通信・放送系 3カ国

⑥財務・金融系 2カ国

⑦外務省 1カ国

⑧国会 1カ国

見てのとおり、断然に①の教育・文化系が多くなっている。いっとき、デンパ行政の官僚が、放送免許制の問題点をそっちのけにして、放送と通信の融合をわめいた上に、議員に働きかけて「情報通信省」なる省庁再々編をぶちあげていたが、いかにそれがくだらないことが分かるだろう。再々編が実際された場合に、図書館員からのマニアックな電話相談に親身に乗る覚悟ができていれば、別だがな。

ちゅーことで、残念ながら、諸外国を参考にして著作権制度の所管省庁を決めようとする場合には、現状維持にならざるを得ないだろうな。

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『ピリ辛』が国立国会図書館で読める!!

 オッス!タイゾーだあ。久しぶりだなあ。4月になっても、お前ら元気かあ?

 実はなあ、このたびお前らがウェブでご愛読している『ピリ辛著作権相談室』が、ココログ出版から刊行されたんで、ご報告するぜ★

 この本の書誌事項・内容の該当頁は次のとおりになっているから、よく見てくれ。学者先生方や、知的財産法専攻の院生どもは、このブログを参照して論文を書くときには、恥だと思わずに、著作権法第32条第1項をちゃんと遵守して、脚注で出典をちゃんと明示しろよな(笑)

タイゾー著ピリ辛著作権相談室 ―著作権フリーライターが日本国民に捧げる、渾身の著作権格闘記』(ココログ出版、2009年)

CONTENTS:2-4頁
よろしくな!:5頁
Q1:ラブ・メールをブログに載せたんだけど…:6-7頁
Q2:著作権登録して大儲けをしたいのですが:8-9頁
Q3:星の王子さまの新訳本ブームの背景:10-11頁
Q4:映画盗撮って何ですか?:12-14頁
Q5
卒業式でのビデオ撮りをやめさせたいのですが…:15-16頁
Q6:公立図書館で職員が減らされているのですが…:17-20頁
Q7:大学の学内共有サーバーにソフトを溜め込みたいと言われているのですが:21-23頁
Q8:国の審議会の情報公開を進めたいのですが:24-27頁
Q9:台湾人の著作権って、日本で保護されるの?:28-30頁
Q10:公立高入試問題を情報公開請求される前にネットで公開したいのですが:31-32頁
Q11:愛娘の写真がネットにアップされたのですが:33-35頁
Q12:著作権ってどうしたら放棄できるの?:36-38頁
Q13:星の王子さまってフランスでは著作権があるの?:39-42頁
Q14:プロポーズでラブソングを歌ったのですが:43-46頁
Q15:バーチャルアイドルに自作の歌を歌わせたいのですが:47-48頁
Q16:通信回線速度が遅い動画配信は著作者人格権の侵害なの?:49-51頁
Q17:著作権規制特区を提案したいのですが:52-54頁
Q18:JIS規格って著作権で保護されるの?:55-59頁
Q19:みんなのモナーが企業に独占されそうなのですが:60-62頁
Q20:図書館内で自由にセルフコピーをさせているのですが…:63-67頁
Q21:大学入試問題をニュースサイトに掲載したいのですが:68-70頁
1万アクセス突破だぜ!!:71-75頁
Q22:議員立法の資料をウェブにアップしたんだけど…:76-79頁
Q23:激安DVDの映画をネットにアップしようと思うのですが:80-83頁
Q24:ログインとパスワードが必要なウェブサイトにファイルをアップしても大丈夫?:84-87頁
Q25:新司法試験科目の著作権法の傾向と対策を教えてください:88-96頁
Q26:神社の露天商がBGMのCDを流していたんだけど…:97-100頁
Q27:平成20年度新司法試験科目の著作権法の問題解説をしてください:101-110頁
Q28:公立図書館で特許手続に必要な文献のコピーを入手したいのですが:111-116頁
Q29:生演奏のピアノバーで歌ったのですが…:117-120頁
Q30:審議会議事録メモをブログに掲載したら、勝手にコピペされていたのですが:121-123頁
Q31:国会事務局に情報公開請求したいのですが…:124-131頁

Q32:公立図書館から映画DVDを借りたいのですが…:132-136頁
Q33:図書館の海賊版所蔵資料を廃棄しろと言われたのですが…:137-143頁
Q34:正義のヒーローのコスプレをしたんだけど…:144-146頁
Q35:タレントデビューしたらブログを閉鎖しなさいって言われたんだけど…:147-149頁
Q36:ユーザーフレンドリーな音楽著作権管理会社を作りたいのですが…:150-156頁
Q37:著作権譲渡のおいしい投資話が来ているのですが…:157-162頁
Q38:店内でテレビをつけていたら、WTOに提訴するぞと言われたのですが:163-168頁
Q39:100%正しい著作権の答えがほしいのですが…:169-173頁
Q40:朝刊のスクープ記事が、他紙の夕刊にも掲載されていたのですが…:174-178頁

 我ながら、よくもこんなに書いたと思うぜw。

 この『ピリ辛』Book版を読みたいという奇特な奴は、国立国会図書館で保存・閲覧提供中でだから、暇なときに行ってみることだな。同館での書誌事項は次のとおりとなっている。

請求記号  AZ-615-J30
タイトル     ピリ辛著作権相談室

: 著作権フリーライターが日本国民に捧げる、渾身の著作権格闘記
責任表示        タイゾー著
出版地           [東京]
出版者           ココログ出版∥ココログ シュッパン
出版年           [2009]
形態              179p ; 19cm
全国書誌番号  21545113
個人著者標目  タイゾー
普通件名        著作権 -- 日本 ∥チョサクケン -- ニホン
NDLC             AZ-615
NDC(9)           021.2
本文の言語コード jpn: 日本語
書誌ID            000010002758

 また、平日の昼間から国会図書館に来館する暇のない奴は、同館の遠隔複写サービスを利用して、取り寄せることができる。全頁の複写は著作権法上、俺様の気分次第の許諾がなければ受け付けてもらえないが、前記の目次を参照して、読みたい部分を特定すれば、著作権法第31条第1号の範囲内で複写してくれると思うぜ。

 一応前もって言うが、俺様は『ピリ辛』の全部分の複写を許諾する気分にはないぜ(爆)。

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Q40:朝刊のスクープ記事が、他紙の夕刊にも掲載されていたのですが…

:こんにちは。ぼくは都内の有名私大法学部に通学する大学生です。ネットが好きで、ピリ辛もよく読んでいます。きっかけは大学で履修している著作権法の夏休みレポートを書くときに、テーマがピリ辛にアップされていたものと同じだったのでコピペ(コピー&ペースト)して提出したことでした。そのおかげで、余計な時間をかけることなくバイトや海外旅行とかしてエンジョイできたのですが、その講義の先生もピリ辛マニアだったため速攻でコピペ工作がばれてしまい、単位を落とすことになりました…。そのときに先生から、レポートを書くときの引用・出典の明示の重要性や、他の人が作った文章、画像などの作品をコピーするときには著作権が及ぶことを教えてもらいました。それ以来、コピペには注意するようになりました。

 そこでふと思ったのですが、ある新聞の朝刊に特ダネ記事が出たときに、その日の夕刊から後を追うようにして似たような記事が載ることがありますよねえ?これって、パクっていることにならないのですか?レポートのコピペと同じことが新聞では許されるのですか?ぜひ教えてください!

==========================

:ピリ辛のご愛読ありがとな!おかげさんでブログ開設から2年弱で、アクセス4万件を突破する寸前まで来たぜ。来訪者も大学生・法科大学院生はもとより、大学研究者、官公庁、裁判所、国会関係機関、大企業、ベンチャー企業、大手法律事務所、教育委員会(小中高含む)、シンクタンク、図書館、マスコミ、海外の有名大学など、ありとあらゆるところからアクセスしていただいているぜ★。もはや日本の著作権法の情報源の一つとなっている言っても過言ではないな。

 大学のレポートで俺様のブログからコピペしたのがばれて気の毒だったなあ。似たようなことを新聞がやっているのを見て癪に障ったということだな。今回は著作権法上、マスコミがどういう特別扱い、すなわち著作権制限規定の適用がなされ著作物を権利者に無断で使える場合があるのかを考えてみよう。

 他紙の特ダネを新聞社が追いかけることについては、「○○が発表した」「○○は明らかにした」というふうに官公庁などの当局のリアクションによりかかる形をとれない場合には、「○○ということが、わかった」と書くとの慣行が新聞業界にあるという指摘がある(河野博子「『正確な引用』が競争のルール 他紙を追いかける米紙のたたずまい」Journalism No.22[2008.12]38頁)。具体例として下記の4つの記事を比較してみよう。

*************************************************

共同通信2003年12月25日宗教法人の財務情報を開示 鳥取県が異例の判断 文化庁は非開示求める 鳥取県が宗教法人から提出された財務情報を県情報公開条例に基づき全面開示していたことが二十五日分かった。文化庁は一九九八年『信教の自由を害する恐れがある』などとして原則非開示を求める通知を各都道府県に出しており、同県の判断は異例。宗教法人をめぐる情報公開に影響を与えそうだ。〔以下略〕」(同月26日付『日本海新聞』『山陰中央新報』に掲載)

読売新聞2003年12月26日夕刊寺社のフトコロ見せます 鳥取県が情報公開 鳥取県が県情報公開条例に基づき、寺社二法人が二〇〇二年度分の財産目録や収支計算書に記載された財務情報を、全面開示していたことが二十六日、わかった。〔以下略〕」

朝日新聞〔大阪版〕2003年12月26日夕刊宗教法人財務を開示 鳥取県 文化庁通知に反し 鳥取県が宗教法人から提出された文書について県情報公開条例に基づき、財務情報を開示していたことが26日、わかった。文化庁は都道府県に対し『信教の自由を害する恐れがある』として、代表者名などを除いて開示しないように通知していたが、同県は『県の責任で宗教活動に支障はないと判断した』としている。こうした情報の公開は異例。〔以下略〕」

毎日新聞〔鳥取県版〕2003年12月26日夕刊宗教法人の財務情報を全面開示 鳥取県が宗教法人の財務情報を、県情報公開条例に基づき全面開示していたことが、26日明らかになった。宗教法人の情報開示を巡っては98年、文化庁が『信教の自由を害する恐れがある』などと、原則非開示を都道府県に通知している。〔以下略〕」

※最高裁平成19年(2007年)2月22日判決により、鳥取県による上記方針に基づく公文書開示決定(日香寺事件)は同県情報公開条例に違反するものとして取り消されるべき旨確定した(鳥取県公式サイト「宗教法人から提出された書類の情報公開に係る訴訟の判決の確定について」参照。宗教法人の書類提出制度については、文化庁ウェブサイト「所轄庁への書類の提出」参照。なお、宗教法人は信者等の利害関係者から財産目録等の閲覧請求があったときは、原則として閲覧させなければならない(宗教法人法第25条第3項))。

*************************************************

 以上の4つの記事から分かる事実としては、(所轄庁に提出される)宗教法人の財務情報について、1998年に文化庁が「信教の自由を害するおそれがあるため」情報公開請求があっても原則として非開示とするようにとの通知を各都道府県に出した、①があったにもかかわらず、鳥取県は(当時の県知事の英(珍?)断により?)宗教法人から提出された財務情報に対する情報公開請求に応じて全面開示した、ということである。

 そして上記の河野博子氏の記事によれば、読売・朝日・毎日の各記事は、共同通信が発信した記事を掲載した日本海新聞・山陰中央新報の26日付朝刊を読んで「抜かれた!!」と焦燥感にかられ、関係当局に電話取材するなどして、同日夕刊に間に合わせたということが「26日、分かった(明らかになった)」という文末で読み取れることになる。もし出典を明示するのならば「鳥取県が宗教法人の財務情報を、県情報公開条例に基づき全面開示していたことが、共同通信25日発の記事で分かっ。」ということになるだろう。

 では報道倫理はともかくとして、著作権法上もこのように抜かれたネタを利用する場合に出典等を明示しなければ著作権法違反となるのか?他人の著作物を利用して自己の著作物を作成するときに適用される典型的な著作権制限規定として引用の規定(著作権法第32条第1項)がある。これが適用されるためには、(1)利用される著作物が公表されたものであること、(2)引用する著作物と引用される著作物が明らかに別物と認識できるだけの区別がなければいけない(明瞭区分性)、(3)利用する側の著作物が主で、利用される側の著作物が従たる関係になくてはならない(附従性)、(4)出所明示(著作権法第48条第1項第1号参照)の要件を満たす必要があるとの判例がある(最高裁判所第三小法廷昭和55年03月28日判決(昭和51(オ)923)(パロディ事件判決))。

 しかし事実の伝達にすぎない雑報や時事の報道は著作物に該当しないと規定されている(著作権法第10条第2項)。著作物が「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と規定(同法第2条第1項第1号)されていることからして、当然の帰結だろう。また現実問題として、緊急性のある事実(事故の発生など)について一々先に報じた報道機関の許諾を得なければならないとするのは不可能だろう。

 このほか報道機関については、時事の事件の報道のためにその目的上正当な範囲内において著作物を利用すること(同法第41条)、時事問題に関する論説の転載(同法第39条)、国、地方公共団体等で行われた公開の演説、陳述を報道の目的上正当と認められる範囲内での利用(同法第40条2項)において著作権制限が認められている。

 他紙が抜いたスクープ記事の利用に関して言えば、例に挙げた宗教法人の情報公開ネタにおいては、共同通信が初めて報じたの事実をモチーフに、新聞社それぞれが独自の取材をして記事を書いたのであれば、単なる事実には著作物性はなく、それを利用しても記事という著作物を創作的に作成したということで、引用の要件を満たさなくても著作権侵害ということにはならないだろう。

 しかし問題となるのは、コラム、論説や大学入試問題の掲載「Q21:大学入試問題をニュースサイトに掲載したいのですが」参照)のように、事件の単なる伝達というよりも文章の中身に着目して記事を作成する場合であろう。このような場合には著作権法第10条第2項は適用されないため、引用などの著作権制限規定が適用されないか注意を払うことになる。場合によっては、著作権者の許諾が必要になることもあるだろう。

 要は、レポートを作成する場合も報道の場合も、他人の著作物を利用する場合にはある一定の目的の場合には例外的に許諾を得なくてもよい場合があるが、そうでない場合には著作権者の許諾を得るか、自分で考え抜いて創作しろや、ってことだな。もっとも著作権法上出典の明示が必要ない場合であっても、学術の発展、情報源のアクセスへの配慮や自分の能力を示すため(まともな文献を読んでレポートを作成していることを教員にアピール)に必要な場合もあるから、著作権法だけに頼らずに勉強するこったな。

【参考文献】谷井精之助・豊田きいち・北村行夫・原田文夫・宮田昇『クリエイター・編集者のための引用ハンドブック』(太田出版、1998年)

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Q39:100%正しい著作権の答えがほしいのですが…

:こんにちは。私はITベンチャー企業の経営者です。子どものときからパソコン好きだったのが高じて会社を立ち上げたのですが、でっかい組織の歯車になるよりもずっとやりがいがあると思っています。

 これからやろうとしている事業としては、インターネットを通じたコンテンツ送信サービスを考えています。規制がいっぱいある地上波放送に比べると、チャンスがいっぱいありそうですからね。ところがベンチャー仲間から聞いたところによると、著作権の規制がたくさんあって何も知らずに事業を始めると著作権者から苦情が来ると聞きました。

 もちろんコンプライアンス重視なので法を守って事業をしたいと思っていますが、何が正しくてどうすれば100%確実に訴えられることなく、しかもコストをかけずにビジネスができるのかを真剣に考えています。特に著作権法では、私的に使う場合などには無断で利用できると聞いたことがありますので、そういう制度を十二分に活用したいと思っています。

 そこでお願いなのですが、どこに著作権法のことを聞けば確実な答えがもらえるのでしょうか?裁判は絶対いやなので(この前通知が来た裁判員候補者も拒否したいくらいですw)裁判所には聞けず、また余計なお金は払えないので弁護士にも聞けませんが、やっぱ所管省庁なのでしょうか?それとも著作権法学者や電話相談室などでしょうか?ぜひ教えてください!

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あるわけねぇ~だろ!(爆)。てめえのような甘ちゃんが多いんだよな。ネットの掲示板で著作権のスレッドを見ても、教えて君ばかりだしよ。今回は著作権に関して示される見解の意義や生かし方を考えてみよう。

 そもそも論として、お前が言っている「100%正しい著作権の答え」とはいかなる場面で効果を発揮するのか?規制行政に飼いならされた世間の大方のやつらは、所管省庁に「あ~、それは大丈夫ですよ」って答えてもらって、それをてめえに文句をいう奴に対して、水戸黄門の印籠のごとく「○○省(庁)は俺が正しいと言っている」と誇らしく主張して、自分の思い通りに事を運ぼうと期待しまくっている。

 だがなあ、このブログで何度もなんどもしつこく言っているように、著作権法は行政規制法ではない著作権はあくまでも私権であり、著作権行使による文句の矛先は所管省庁(文化庁)ではなく、権利者に向けなければ問題は解決しない。「政府規制の問題であれば、政府ないしは官庁が自己の有する権限を手放せば済む場合も多いが、著作権の場合は、著作権という私権の内容をどのように再構成するか、あるいは既得権となっている著作者・著作権者の権利をいかに制限するかという問題」というわけだ(中山信弘「著作権法と規制緩和」西村あさひ法律事務所西村高等法務研究所編『西村利郎先生追悼論文集 グローバリゼーションの中の日本法』(商事法務、2008年)386頁)。したがって所管省庁(文化庁)に電話して、自分が有利に進めたい著作権の質問事項について「愛していると言ってくれ~!(むかし、そんなドラマがあったなあ…)と求愛するが如く、電話に応対しているやつに「イエス!」と言ってもらえるまで粘るのは無意味というものだ。まして「それはケース・バイ・ケースで、裁判しないと分かりませんねえ…」と回答されたときに「ざけんじゃねぇ、俺が裁判できるわけねーだろ!!」と逆ギレするのは愚の骨頂というべきである。

 ここで「裁判しないと分かりません」と書いたが、どういうことなのか?これは正に憲法で規定する三権分立の問題だろう。国家の立法・行政・司法の権限のうち、立法権は国会(日本国憲法第41条)に、行政権は政府(同第65条)に、司法権は裁判所(第76条)にそれぞれ属している。したがって著作権に限らず、自分の身に起こっている揉めごとを相手方との交渉ではまとめきられず、国家に公的に介入してもらって解決したい場合には、弁護士を雇うなど身銭をきって裁判に臨む必要がある。

 国家の権限が三権に分かれている結果として、それぞれの機関の見解が異なることがありうる。その典型例が、映画「シェーン」事件最高裁判決(最判平成19年12月18日民集第61巻9号3460頁)だろう(吉田利宏・いしかわまりこ「法令読解心得帖 法律学習はじめの一歩 第25回 法律の解釈権」法学セミナー第649号[2009.1]58-61頁)。この事件は、映画の著作物の著作権保護期間(著作権法第54条第1項)を公表後50年から70年に延長した「著作権法の一部を改正する法律(平成15年法律第85号)」は平成16年1月1日から施行されることになっていたが(同法附則第1条)、同法附則第2条において「改正後の著作権法(次条において「新法」という。)第54条第1項の規定は、この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存する映画の著作物について適用し、この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が消滅している映画の著作物については、なお従前の例による。」と規定されていたことから、改正前の規定によれば平成15年12月31日には著作権が存在するが平成16年1月1日は著作権が消滅している昭和28年公表の映画の著作物の保護期間も20年間延長されたのかどうかが争点となった。

 この点、原告からは次のように、平成15年法改正における文化庁、内閣法制局の立法作業経緯、国会の立法者意思から見て、20年間延長していると主張している(東京地裁平成18年10月6日判決(平成18(ワ)2906)12頁)。

「 平成15年4月に,内閣法制局第2部において,著作権担当の参事官が担当の部長に,本件改正法における映画の著作物の著作権保護期間についての経過措置の内容を説明することになっていたが,文化庁は,その説明のための資料として,「平成15年法改正法制局第2部長説明資料」と題する書面(以下「本件資料2」という。)を作成し,実際に,内閣法制局第2部では,著作権担当の参事官が本件資料2を示して担当部長に説明を行った。本件資料2には,「第54条の映画の著作物の保護期間延長の規定が来年(2004年)1月1日に施行される場合,本年(2003年)12月31日まで著作権が存続する著作物については,12月31日の午後12時と1月1日の午前0時は同時と考えられることから,『施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存するもの』として保護期間が延長されることとなる」と明確に記載されているが,本件資料2に記載された「映画の著作物の保護期間についての経過措置」の原案がそのまま第156回国会において「著作権法の一部を改正する法律案」として提出されていることから,内閣法制局が平成15年12月31日の午後12時と平成16年1月1日の午前零時は同時である,すなわち,昭和28年に公表された映画の著作物は,改正著作権法の適用を受けると考えていたことは明らかである。
 そして,上記「著作権法の一部を改正する法律案」が第156回国会による審議を経てそのまま成立していることから,立法者である国会も,平成15年12月31日の午後12時と平成16年1月1日の午前零時は同時である,すなわち,昭和28年に公表された映画の著作物は,改正著作権法の適用を受けると考えていたことも明らかである

 少し補足すると、著作権法などの法律案を政府が作成して国会の審議にかける場合、各省庁が法律案原案を作成した上で、内閣法制局からその内容が憲法に違反しないか、他の法令に抵触しないかなどの法令審査を受ける必要がある。上記の主張にあるように、参事官や部長のOKをもらう必要があるわけだ。この審査を通過すれば事務次官等会議、閣議決定を経て国会に提出されることになる(内閣法制局ウェブサイト「法律ができるまで」参照)。したがって、保護期間の延長について昭和28年公表の映画の著作物も保護期間延長の対象になるという見解は、法制局審査を通過したことから、正式な政府解釈であるということができる。

 しかし上記最高裁判決では「『この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が消滅している映画の著作物については,なお従前の例による』と定めているが,これは,本件改正法の施行日において既に保護期間の満了している映画の著作物については,本件改正前の著作権法の保護期間が適用され,本件改正後の著作権法の保護期間は適用されないことを念のため明記したものと解すべきであり,本件改正法の施行の直前に著作権の消滅する著作物について本件改正後の著作権法の保護期間が適用されない」「本件映画を含め,昭和28年に団体の著作名義をもって公表された独創性を有する映画の著作物は,本件改正による保護期間の延長措置の対象となるものではなく,その著作権は平成15年12月31日の終了をもって存続期間が満了し消滅したというべきである。」として、保護期間の延長を否定した。

 このような裁判所の判決については批判もあり(作花文雄「映画『シェーン』事件知財高裁判決―引き続く混迷の様相」コピライト2007年5月号51-64頁、同「『シェーン』事件最高裁判決の残した課題」コピライト2008年2月号40-48頁)、また「『小津安二郎作品の保護期間をつなげるために法改正するんです』と、私は何百人もの国会議員に説明した」としこのような本来の法改正目的が国会質問されなかったことを嘆く声もある(岡本薫「特別講演 『WIPO新条約と利用可能化権の創設』(抄)」『2007年度 ALAI JAPAN国際研究大会講演録~シンポジウム「権利の制限と3-step-test」』(ALAI JAPAN 事務局、2008年)20-21頁)。しかし、立法者意思についてはあくまでも一つの解釈の材料、根拠という位置づけであり、司法判断を受けたものではない政府解釈については裁判所で誤ったものであると判断されることがある旨の指摘がなされているところである(杉浦正樹「最近の著作権裁判例について」コピライト2007年2月号20頁)。

 一方で過去の裁判例では、図書館等の複製に係る著作権法第31条で規定する著作物の単位が争点となった多摩市立図書館複写拒否事件(東京地判平成7年4月28日判時1531号129頁)や、北朝鮮・台湾の国民が作成した著作物が日本の著作権法で保護されるかどうかを争った北朝鮮テレビ放映事件(東京地判平成19年12月14日 平成18(ワ)5640  平成18(ワ)6062(「Q9:台湾人の著作権って、日本で保護されるの?」、「1万アクセス突破だぜ!!」参照)などではいずれも文化庁の見解を採用しており、政府解釈と司法判断の関係については注意する必要があるだろう。

 以上のように、著作権の解釈に対する評価は、私人間の交渉、行政との関係、裁判所との関係など、場面によって異なるといえるだろう。したがって、著作権に関する「正しい答え」を所管省庁、著作権法学者、電話相談室などの誰かに寄りかかって解決することはできないだろう(そういう奴に限って、期待する結果を得られなかったときに責任をなすりつけようとするんだよな)。要は自分が主体となって、どの機関を利用するかをケース・バイ・ケースで考える必要があるというわけだ。場合によっては、身銭を切って弁護士に法律相談する必要もあるだろうな。

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