トップページ | 2007年2月 »

2007年1月

Q2:著作権登録して大儲けをしたいのですが

:ちょっといいですか~。わたしは昨年に会社を定年退職して、余生を日本の産業振興のために尽くそうと思っている町の発明家です。

 実はこの前、21世紀最大の大発明をしました。その名も「ダイエット茶碗」という名の商品で、ご飯をよそおった量を実際よりも多めに見せることで合理的にやせられるというものです。私は昨日特許申請をしに胸をはずませて特許庁に特許申請をしに行ったのですが、窓口で「う~ん、こういう芸術的なものは、著作権の方なのでは…」と言われ、審査も通らず登録されないのに印紙代を無駄にするのもなんなんで、取りあえずその日は申請は保留にしました。

 あと、発明の神様と言われるT先生(元国会議員)の御本で、著作権の申請は特許の申請より印紙代が安くて、町の発明家の財布に暖かいと書いてありました。

 そこでお尋ねですが、著作権を取るための申請の方法や、登録されやすいようにするためのテクニックを教えてください。なるべく早く登録して、ほかのやつに同じような発明をされないようにしたいので、至急の回答をお願いします。

==========================

:俺様に至急の回答を求めるたあ、いい度胸をしているなあ。てめえが社会でどれくらい相手にされるのかを考えてから言ってほしいものだな。

 はっきり言うけどなあ「著作権を取るための申請の方法」ってない。著作権は著作物(思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの)を創作した時点で何の登録もなしに発生するものだ。著作権の登録制度は確かにあるが、それは公表年月日の登録や、ペンネームや匿名で公表したときのための実名の登録、出版権の登録などはあるが、これらはいずれも権利の公示をするためのものであって、権利の取得を目的とするものではない。

 こんなことを言うと、「でも登録をしないと、他人に権利を証明するのが難しいよねえ」と思うかもしれんが、著作権法上、著作物を提示するときに作成者名を表示していれば著作権者と推定されるので、その心配はいらない。逆に言えば、著作権登録をするときに担当省庁(文化庁)で内容を審査しているわけではないので、登録を以って証明できるといえない。現に、あるシンボルマークを著作権登録したけど、実はそれは他人がつくったもので、あとで登録を抹消したという事件があったほどだ(塩澤一洋「94 実名登録抹消登録事件―フジサンケイグループ事件(東京高裁平成9年8月28日判決)」別冊ジュリスト157号『著作権判例百選[第三版]』190-191頁(有斐閣、2001年)参照)。

 あとなあ、「なるべく早く登録して、ほかのやつに同じような発明をされないようにしたい」ということだが、著作権では特許権と違って、自分が権利を取得した後に似たようなものを作れないようにするという効果は発生しない。判例でもなあ、同一の著作物かどうかは類似性と依拠性の2つを基準にするといっている。だから、似ているだけではなく、お前が作った著作物を見ながらまねっこしたという事実がなければ、著作権を行使して作ってはだめだとはいえない

 つうことで、著作権と特許権はまったく違う性質の権利なので、特許申請がだめそうだから、著作権登録申請をしようという考えはさっぱり捨てることだな。

Q1:ラブ・メールをブログに載せたんだけど…

:20歳の女子大生でーす。あのう、わたし結構もてる方で、学校の男の子からよくお誘いのメールをもらうの。この前、ロースクールを目指しているっていう暗い子から携帯にメールが来たんだけど、あまりに痛いメールだったんで、私のブログに面白半分に載せたんだけど、どこで知ったか、その子から「勝手に載せるな、ゴラァ」ってクレームが来たの。訳を聞いたら、著作権侵害だって言ってたんだけど、それって本当かなあ?メールを送ったということは、その文を私にあげるってことだよねえ?どこが問題か、教えてよ。

==========================

:著作権法的には、お前のほうが痛いなあ。

 いいかあ、まず「メールを送ったということは、その文を私にあげるってことだよねえ?」って言うが、その野郎がお前にあげたのは、お前の携帯に表示されたメールの文章であって、その文章から発生する著作権をあげてはいない。著作権って何かってーと、人の思いや感情を心をこめてオリジナリティーのある表現で書かれた文章、絵、音楽、動画などから発生する権利を言う。それは、著作権法という法律で決められている。どんなに内容が痛かろうが、そいつがどっかのサイトをコピペしたり、本に書いてあることをベタ張りとかしていない限り、メールの文章から著作権が発生する。

 著作権が発生するとどうなるのか。まずその野郎はメールの文章を勝手にコピーされない権利と勝手にネットに送信されない権利を持つことになる。次に、メールの文章を勝手に公表されない権利を持つことになる。その野郎の文章を利用する場合には、原則としてそいつの同意を得ないとならない。

 今回のお前の相談にあてはめると、まずその野郎がお前の携帯に送った文章を携帯に表示させて閲覧することには何ら問題はない。その野郎が好きで送っているんだからな。だがなあ、それを更にお前のブログに載せるとなったら、話は別だ。ブログに載せることについて野郎の同意を得ないとならないぜ。

 つうことで、お前は野郎に謝り、野郎の許可がなければ、すぐにブログから削除する必要がある。

 要は、相手の気持ちを考えろってことだな。

よろしくな!

 オッス!俺はタイゾー。著作権フリーライターをやっている。いろんな雑誌に著作権関係の雑文を提供している。

 この仕事始めて思ったのだが、ほとんどの世間のやつらは、著作権を誤解している、というよりも知らない、赤ちゃんのような状態だなあっていうことに気づいた。日本の著作権法は旧法(今の著作権法よりも前にあったもの)も含めると明治32年からあるのだが、多くのやつらは最近ふって沸いたかのように著作権を扱い、あたかも国民の自由を奪っているかのごとく語っている。

 著作権関係のブログって、著作権の使いにくさを説いているものが多いな。でも批判的な声が多いのは、ブロガーで他人が作った文章、写真、音楽を使ってネットで配信したいやつが多いからそういうことになるのだと俺は思っている。そうすると、偏った情報が世の中に流布し、世論が変な方向に行きかねない。

 そこで俺は、このブログを立ち上げた。職業柄、著作権の質問を受けるので、そのときに誤解によるものだと思ったものをこのブログで紹介する。ときには厳しいことも言うが、水に流してほしい。

 なお、これからこのブログで開陳する著作権に関する説明は、俺様個人の見解であり、おまえらの著作権その他の紛争の結果を保証するものではなく、俺様の責めに帰するものではない。その点を踏まえて読んでほしい(「Q39:100%正しい著作権の答えがほしいのですが…」参照)。

 マジで著作権を相談したい場合は、(社)著作権情報センターの「著作権相談室」に問い合わせるのがいいと思う。電話相談もやっているそうだ。

トップページ | 2007年2月 »