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Q2:著作権登録して大儲けをしたいのですが

:ちょっといいですか~。わたしは昨年に会社を定年退職して、余生を日本の産業振興のために尽くそうと思っている町の発明家です。

 実はこの前、21世紀最大の大発明をしました。その名も「ダイエット茶碗」という名の商品で、ご飯をよそおった量を実際よりも多めに見せることで合理的にやせられるというものです。私は昨日特許申請をしに胸をはずませて特許庁に特許申請をしに行ったのですが、窓口で「う~ん、こういう芸術的なものは、著作権の方なのでは…」と言われ、審査も通らず登録されないのに印紙代を無駄にするのもなんなんで、取りあえずその日は申請は保留にしました。

 あと、発明の神様と言われるT先生(元国会議員)の御本で、著作権の申請は特許の申請より印紙代が安くて、町の発明家の財布に暖かいと書いてありました。

 そこでお尋ねですが、著作権を取るための申請の方法や、登録されやすいようにするためのテクニックを教えてください。なるべく早く登録して、ほかのやつに同じような発明をされないようにしたいので、至急の回答をお願いします。

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:俺様に至急の回答を求めるたあ、いい度胸をしているなあ。てめえが社会でどれくらい相手にされるのかを考えてから言ってほしいものだな。

 はっきり言うけどなあ「著作権を取るための申請の方法」ってない。著作権は著作物(思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの)を創作した時点で何の登録もなしに発生するものだ。著作権の登録制度は確かにあるが、それは公表年月日の登録や、ペンネームや匿名で公表したときのための実名の登録、出版権の登録などはあるが、これらはいずれも権利の公示をするためのものであって、権利の取得を目的とするものではない。

 こんなことを言うと、「でも登録をしないと、他人に権利を証明するのが難しいよねえ」と思うかもしれんが、著作権法上、著作物を提示するときに作成者名を表示していれば著作権者と推定されるので、その心配はいらない。逆に言えば、著作権登録をするときに担当省庁(文化庁)で内容を審査しているわけではないので、登録を以って証明できるといえない。現に、あるシンボルマークを著作権登録したけど、実はそれは他人がつくったもので、あとで登録を抹消したという事件があったほどだ(塩澤一洋「94 実名登録抹消登録事件―フジサンケイグループ事件(東京高裁平成9年8月28日判決)」別冊ジュリスト157号『著作権判例百選[第三版]』190-191頁(有斐閣、2001年)参照)。

 あとなあ、「なるべく早く登録して、ほかのやつに同じような発明をされないようにしたい」ということだが、著作権では特許権と違って、自分が権利を取得した後に似たようなものを作れないようにするという効果は発生しない。判例でもなあ、同一の著作物かどうかは類似性と依拠性の2つを基準にするといっている。だから、似ているだけではなく、お前が作った著作物を見ながらまねっこしたという事実がなければ、著作権を行使して作ってはだめだとはいえない

 つうことで、著作権と特許権はまったく違う性質の権利なので、特許申請がだめそうだから、著作権登録申請をしようという考えはさっぱり捨てることだな。

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