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Q4:映画盗撮って何ですか?

:タイゾーさん、私はQ3で御質問しました乙女です。ご親切にお答えくださってありがとう。

 さてすいませんが、また質問です。先日、楽しみにしていた映画を観に、映画館に行きました。映画館に行くと上映前に、必ず「ビデオカメラによる映画の録画録音禁止!」という映像が出ます。私は大画面で観るのが好きなので映画館に行くのですが、わざわざ上映中にビデオ録画する物好きな方っているのでしょうか。そもそも著作権法で禁止されているんですよねえ?教えてください。

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:またまた質問ありがとう。24歳の乙女だったら、毎日でもメールで質問を受け付けてもいいくらいだぜ。まずは、メールアドレスの交換をw

 さて、映画盗撮についてだけど、上映中の映画を著作権者に無断で録画録音することは、著作権法では複製権(21条)の違反となる。だから、映画館は映画を盗撮したやつについては、著作権法違反で捕まえられるはずだ。

 ところがだ。ここで映画館スタッフを泣かせるのが「私的複製」の規定だ。私的複製は何かってーと、個人的・家庭内で使用することを目的として著作物を利用する場合には、例外的に著作権者に無断で複製することができるという、金を惜しむユーザーが一番当てこんでいる規定だ(30条1項)。例えば、家にあるビデオデッキで好きな時間にテレビ番組を観るためにタイマー予約録画するのは、この例に当たる。

 この規定が最近、映画館で槍玉にあがっている。近ごろハンディカムなどの小型カメラで、きれいなデジタル画像で録画することが簡単になっている。そのよう機器を使って上映中の映画を録画する「カムコーディング(camcording)」が問題となっている。まあ、おうちの中だけで見るのならいいのだが、真の目的は海賊版販売だ。繁華街でよく売られている。おれも観たことあるが、ブレなどもなく、本物DVDと見まごうほどだ。上映と同時に映画入場料より多少安く販売されるので、上映中の配給→DVD販売→テレビ放映という二次利用を当て込んで製作している映画ビジネスにとっては大打撃だ。ユーザー、特に(親などの)他人の褌で飯を食っている学生やニートにとっては早くそして安く(又は無料で)観られれば映画ビジネスのプロセスなんてどうでもいいのだろうが、映画でおまんまを食べている業界人にとっては、たまったものではない。

 海賊版販売目的のカムコーディングは、現行の著作権法でも当然違法だ。しかし、映画館スタッフが捕まえると、10中8,9「いえ、これは家で見るために録画している私的複製で合法です」と言い訳されて、泣く泣く犯人を逃がしている、というのが映画業界の言い分のようだ(『産経新聞』平成19年1月27日付け 1,3面参照)。

 ここで日本の映画業界人は、著作権法改正に(勘違いして?)立ち上がり、政治家に泣きついたようだ。具体的に言うと、「悪の根源」である私的複製規定によるユーザーのメリットを抑制し、映画館での上映中映画の録音録画を私的利用目的であろうがなかろうが、著作権侵害として違法化するということである。報道によっては、DVDを販売する期間までの間に限定するという案も上がっているとのことである。

 また映画業界人を勇気付け(勘違いを助長し?)ているのが、アメリカの" Family Entertainment and Copyright Act of 2005"だ。この法律の2319B条(a)においては、「著作権者の許可なく、動画表示機器から、視聴覚記録機器を用いて著作権法で保護された映画その他視聴覚作品の複製を故意に作った者、あるいは作ろうとした者は、3年以下の懲役、ないし罰金、あるいはその両方を科される。違反が2回目以上の者は、6年以下の懲役、ないし罰金、あるいはその両方を科される。」と規定され、映画館内のカムコーディングを抑制する内容となっている。

(三井情報開発株式会社 総合研究所『知的財産立国に向けた著作権制度の改善に関する調査研究』48-49頁(平成18年3月)参照)

 以上のような経緯を経て、平成19年2月23日の自民党政調・知的財産戦略調査会での審査を経て、「映画の盗撮の防止に関する法律案」が議員立法として、著作権法の特別法として今通常国会に提出される予定とされている(第166回国会衆議院公報 第20号 平成19年2月21日付 318頁参照)。

 だがなあ、俺の意見として言わせてもらえば、カムコーディングって制度改正するほどのものなのだろうか。海賊版販売目的のカムコーディングは現行著作権法でも違法だ。ただ「私的複製」という言い訳に反論できずに犯人を逃がしている現状を改めたいというのが、今回の改正動機だ。しかしそれだったら、映画館は建物所有者又は占有者として、管理権を行使して、私的複製であってもやめさせることはできる。本屋での図書の携帯カメラ撮影の禁止はこれによる(決して「マナー違反」に止まる問題ではない)。また刑罰であれば、無断で映画館に入場したとして、刑法130条の住居侵入罪に問える可能性はある。中学生がガムを万引きしたときに「トイレに行くだけだった」と言い訳したときと状況が似ていると思うのだが…。

 なお、アメリカは著作権法の世界では、グローバルどころかローカル(あるいは亜流)なので、参照にはなっても、参考にはならんw。

*参照:文化庁ウェブサイト 映画の盗撮の防止に関する法律について

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