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2007年7月

Q8:国の審議会の情報公開を進めたいのですが

:こんにちは。私は某法人の事務局でちんまりと地味な仕事をしています。

 私はある行政分野に興味を持ち、その審議会(一般公開)には毎回のように傍聴の希望を出しては、出席をしています。その審議会の事務局は、情報公開に前向きでないようで、会議開催後、早くても半月しないと議事録や議事資料をネットに公開してくれません。そこで、私は自主的に、会議の会場にパソコンを持ち込んでパカパカ入力して、オリジナルの議事録を作成し、また会場でもらった資料をPDF化して、その日のうちに自分のブログで資料を公開しております。公正を期するため、特に論評や説明等は、加えていません(そんな時間もないし)。

 ブログの世界ではかなり好評で、順調にアクセス数が伸びました。しかし、ブログを始めて半年もしたころ、コメント欄に「オミャーがやっていることは著作権侵害だに」という心無い記載がありました。当然、即刻その書き込みを削除した上で、そいつからのアクセスを禁止にしましたが、国が税金で作成した資料、会議の内容に著作権を認めて、国民が利用することを抑制する考えには納得がいきません。

 審議会の議事録、議事資料に著作権は認められるのでしょうか?私がやっていることは本当に著作権侵害なのでしょうか?教えてください。

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議事録や議事資料に著作権は認められるだにぃ(爆)。国が作ったもの(著作物)はみんなのもので著作権フリーと誤解して、その資料がよくネットに転がっているが、今回はそれについて考えてみよう。

 国が作った著作物のうち、次のものには著作権の目的とならないので、著作権フリーとして勝手にネットに載せることができる(著作権法13条)。

1.憲法その他の法令

2.国、地方公共団体、独立行政法人等の機関が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの

3.裁判所の判決、決定、命令及び審判や準裁判手続の決定(海難審判など)

4.1-3に該当するものの翻訳物、編集物で国、地方公共団体、独立行政法人等が作成するもの

 したがって、国の審議会の議事録や議事資料は著作権法13条1-4号に該当しないため、著作権が発生し、利用するには原則として国の許諾を要することになる。

 また、念のために言うと、委員をはじめとして発言者の発言も、たとえ何かに内容を固定(紙に書く、ネットに載せるなど)していないくても、著作権は発生するので、無断で書き留めることは、原則として許諾が必要となる。

 なお、お前が自分でPCに議事内容を打ち込んで「僕、がんばったよ!」って思っていても、議事内容のあくまで著作権者は発言者であって、打ち込んだお前ではない。これは速記者も同じことだ。

 そこで次に、著作権制限規定によって、ブログに議事録や議事資料を載せることが適法になるのかが問題となる。

 トップバッターとして引用(著作権法32条1項)が考えられるだろう。しかし、「引用」は、日常用語としての「引用」ではなく、次の条件を満たす必要がある。

1.自己の著作物(ブログの文章など)を作成することを目的として

2.自己の主張等を裏づけし補強することや、他人の考え方などを論評するために利用し

3.報道、批評、研究等の目的上、その利用に必然性があり

4.自己の著作物と引用で利用する著作物とを対比した場合に、前者の量が後者よりも主となっている

 お前がブログでしていることは、審議会の内容を論評する文章を作成するために議事録や議事資料を利用しているだけではなく、単にネットに速く掲載することを目的としているだけであるから、この「引用」による利用には当たらない。

 つぎに、著作権法32条2項にいう国の機関がその名義で一般周知を目的として作成した広報資料や報告書等を、説明の材料として新聞雑誌等の刊行物に転載することに該当するかどうかを考える。

 確かに、一般公開している審議会の議事録や議事資料であれば、この条項の適用を受ける可能性はあるだろう。しかし注意が必要なのは、審議会の資料は必ずしも、国の名義の資料に限らないと言うことだ。審議会に参加する役人や委員だけでなく、ヒアリングで来た有識者、企業、個人など、国の機関でない者が資料を提出する場合がある。そいつらは、審議会でコピー配布されることを許諾しただけであって、それを受け取ったやつらがネットに載せることまで許諾していないのが通常であるから、これについて同条項を適用するのは困難だろう。

 さらに、同条項では「転載することができる」としているが、「転載」と言う以上、原資料をコピーすることは適用外の行為となる(加戸守行『著作権法逐条講義 五訂新版』(著作権情報センター、2006年)246頁参照)。

 また、著作権法40条2項でいう、国の機関等で行われた公開の演説または陳述の利用の規定の適用が考えられるが、これは報道の目的で、しかも新聞雑誌への掲載や放送・有線放送・IPマルチキャストによる送信に限定されているので、お前のようにオープンネットワークを通じたブログでの公表は該当しない。

 つうことで、ブログのコメントで言われたように、「著作権侵害」という可能性が濃厚だな!

 こういうことを言うと、アメリカ著作権法第105条では、合衆国政府による著作物は著作権フリーとなっているのになあ、日本は遅れている、というバ…、いや、方がいらっしゃるが(笑)、これは政府の金で作ったものは全て著作権フリーというのとは意味が異なる。

 国や地方公共団体などの役所、税金で作ったものといえども、シンクタンクなどの他の業者や研究会に補助金を出したり委託をしたりして作成した成果物がある。その場合、誰に著作権があるかというと、金をだした役所ではなく、著作物を作成した業者等が持つの原則だ。契約によって役所に著作権を譲渡することはできるがな。

 だから国が税金で作ったものだから、審議会で利用されたものだから全てフリーに使えるようにすべきという考えは、甘いだろう。

 つうことで、おとなしくそのようなブログはやめるんだな。論評など自分の著作物を作成するために使うんだったらまだいいが。

 というか、審議会の傍聴って、なんで入場料を取らないんだろうねえ。俺様みたいに平日の昼間に忙しい一般市民から見れば、傍聴人は気楽で、市民の税金をむさぼるフリーライダーのような気がするが・・・。

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