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2010年1月

Q42:日本の著作権担当省庁の歴史って、どうなっているの?

Q:こんにちは。いつもこのブログを読んでいる「ピリ辛マニア」です。楽しく読んでますよ!でも最近、更新がなかなかなくて、ちょっと物足りないです。

Q41:海外の著作権法の所管省庁ってどうなっているの?」を読みましたが、著作権法の担当省庁って、文化担当の省庁が担ってることが多いって、始めて知りました。特許権、商標権などの知的財産権の一つだから、それをまとめて仕事をしているのかなって、文化庁が担当しているのは日本くらいかなあって、思ってたんで。諸外国の中で、検閲関係の省庁が担当していることも、意外でした。

さて気になったのは、わが国の著作権行政の担当省庁って、むかしはどうなっていたのかなあってことです。戦前も著作権法の担当省庁ってあったんですか?あった場合は、今と同じで文化庁が担当していたのですか?全然分からないので、教えてください!

:オッス!著作権法の担当省庁の歴史を調べるたあ、ずいぶんマニアックな奴だなあ。さすが「ピリ辛マニア」というべきだな!

 回答だけど、戦前の著作権行政は出版検閲の色彩が強かったといえる。それは、福沢諭吉が「Copyright」を「蔵版の免許」と訳したところからして表れている。著作権法の元祖は、出版条例(明治2年5月13日公布)で、明治32年に旧著作権法(明治32年3月4日法律第39号)が公布されるまでに、出版条例(明治5年正月13日文部省布達)出版条例(明治8年9月3日太政官布告第135号)版権条例(明治20年12月29日勅令第77号)版権法(明治26年4月14日法律第16号)になったという具合だ。「出版条例」という名のとおり、お役所的には当初、著作権の保護と出版取締りがごっちゃ混ぜになっていたわけだ(大霞会編『内務省史 第二巻』(地方財務協会、昭和45年)683-684頁参照)

 そんなわけで、所管省庁も出版取締りをするところが著作権制度の仕事もしていた。明治2年には昌平・開成学校、明治3年には大史局が所管し、明治4年には文部省が所管し、准刻課というところが明治7年から担当した。その後明治8年に内務省に移管された。第三局准刻局図書寮図書局総務局庶務局などが担当してきたが、明治26年からは警保局というところが担当していた。今で言えば、警察庁に当たるところだ。

 内務省警保局では明治26年以来、図書課が担当し、戦争が近くなった昭和15年12月6日はその名もずばり、検閲課と名称を変えた。著作権法を担当していたのは今と違って係レベルで、「著作権出版権登録係」という名前だったようだ(大霞会編『内務省史 第一巻』(地方財務協会、昭和46年)595頁参照)

  そんなわけで、戦前の著作権法所管課は内務省で権力を振るっていたわけだが、第2次世界大戦での敗戦によって一変した。GHQ(連合国軍最高司令部)の命令で検閲課は廃止され、昭和20年10月13日に同じ局の行政警察課に移管された。その後同年12月19日に警務課、昭和21年8月1日に公安第二課に仕事が投げられた。このようなことはJASRAC(日本音楽著作権協会)にも混乱を与え、昭和20年9月30日に(旧)仲介業務法(著作権に関する仲介業務に関する法律(昭和14年4月5日法律第67号))に基づく著作権使用料規程の認可申請を行ったところ、その公告を行ったのが検閲課長だったが、著作権審査会に諮問したのは行政警察課長、認可の起案をしたのが警務課長だったと振り返っている(『社団法人 日本著作権協会50年史』(日本音楽著作権協会、1989年)22-23頁)

 また著作権法所管課が上記の通りであっても、終戦直後に設置された内務省調査局も関係法令を兼務させられていたという証言があり、まともに担当していた部署がなかったのではないのかとも思わせる(国塩耕一郎「随想 著作権法所管省の交替」『著作権研究』第5号(1972年)82-84頁参照)。 

 そいでもって、昭和22年5月10日には、内務省から文部省に所管が交替し、同年7月30日に社会教育局著作権室が設置され、その後文化庁が担当し、今日に至っている(文化庁長官官房著作権課・国際課)わけだ。戦後になって文化担当の省庁が著作権法を所管したというのは、わが国が文化的な先進国になったという証でもあろう。

 こういう歴史を知っていれば、「情報通信文化省」って発想がいかに場当たり的であるのかが、よく分かるだろう。著作権法に関係がある伝達手段は、インターネットやデムパだけじゃないんだからな。

【参考文献】

大家重夫『著作権を確立した人びと 第2版』(成文堂、平成16年)41-64頁

著作権法百年史編集委員会編著『著作権法百年史資料編』(著作権情報センター、平成12年)1114-1115頁

『出版法版権法条例』(敬業社、明治26年) 

浅岡邦雄「戦前内務省における出版検閲【PART-2】 :禁止処分のいろいろ」(神田雑学大学 平成20年8月1日 講座)

浅岡邦雄「戦前期の出版検閲と法制度」(神田雑学大学 平成23年7月2日 講座)

『ピリ辛』本を読める図書館一覧

 オレ様の著作『ピリ辛著作権相談室 : 著作権フリーライターが日本国民に捧げる、渾身の著作権格闘記』が世間で注目を集めているのは、既に伝えたとおりだが、お前らが気軽に読めるように、いくつかの図書館・研究所で置いて頂いた。
 読みたい奴は、次の図書館に行くことだな!

国立国会図書館東京本館 (東京都千代田区) 

国立国会図書館関西館(京都府相楽郡精華町) 

請求記号:AZ-615-J30

神奈川県立図書館 (神奈川県横浜市)  

請求記号:県立 021.2UU 340

筑波大学附属図書館大塚図書館 (東京都文京区) 

請求記号:328.5-Ta25

一橋大学附属図書館 (東京都国立市)

請求記号: 0200:695

中央大学図書館中央図書館 (東京都八王子市)

請求記号:021.2/Ta25

著作権情報センター資料室 (東京都新宿区) 

請求記号:資発A-Ta

知的財産研究所図書館 (東京都千代田区) 

請求記号:1B3200:Ta25 No.00010772

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