Q43:公立図書館で貸し出す本の表紙をコピーしたり、ウェブにアップしたいんだけど…
Q:こんにちは。私は、とある公立図書館ではたらく図書館員です。図書館員とはいっても公務員ではなく、図書館サービス専門の民間企業から派遣されてお仕事をしています。憧れの図書館員になって、司書資格も生かせているので、とてもやりがいを感じています。
実は、仕事で問題になっている著作権のことで教えてほしいのです。それは本を紹介するために、本の表紙をコピーしたものを配布したり、図書館のウェブサイトに載せることです。今まで当たり前のようにしていたのですが、ある日利用者の方から、著作権侵害ではないのか、という御指摘があったのです。
著作権については職員研修も受けて知っているつもりだったのですが、本当に著作権が問題になるようなことなんでしょうか?教えてください!
A:指定管理事業者の図書館員さんか。「公務員でなければ、図書館員はできない」という奴らもいるけど、雇用の確保につながるし、利用者にとってはどっちでもいいような気がするがなあ。
質問だけど、本を紹介するために表紙(書影)のコピーの配布や、ウェブサイトへのアップロードについては、今までは勝手にできるかどうか、??だったが、2010年1月からの新しい著作権法で、可能になったんだ。
著作権法上、絵や写真などの著作権があるものをコピーする場合には複製権(第21条)が、ウェブサイトへのアップロードについては公衆送信権(第23条)というものが発生し、絵や写真の著作権者は、他人様が利用することについて「勝手に使うんじゃねー!」と突っ込みを入れて権利を主張することができ、使わせる条件として使用料をゲットすることができる。しかし、図書館での利用者へのコピーの提供など、ある一定の公益的活動などについては、例外的に無断でできて、ラッキーな思いをすることができるようになっている。これから紹介する著作権法の新しい規定も、そのラッキーなことができることの仲間というわけだ。
著作権法の条文で言えば、第47条の2(美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等)というやつだな。この規定では、美術の著作物(絵画など)と写真の著作物(写真、デジカメ画像など)である商品の所有者が、それらを譲り渡したり、貸し出そうとする場合に、その商品を紹介するためであれば、コピーやネットへのアップロードを、ある一定の範囲内の大きさや画素で表示していれば、例外的に著作権者の許諾を得なくてもできるようになったんだ。念のために言っとくと、無断コピーしたりして作成した、海賊版の図書・雑誌を紹介するときは、ラッキーな思いすることはできない。
図書館で貸し出す図書・雑誌について言えば、確かに図書・雑誌自体は「言語の著作物」で物自体は「美術の著作物」でも「写真の著作物」でもないが、表紙自体は何らかの絵だったり、漫画キャラクターだったり、あるいは写真だったりで、「美術の著作物」や「写真の著作物」となるものがある。もちろん、単なる文字やデザインの場合のように、著作権が発生する「著作物」になりえないものについては、著作権はないので著作権法上の問題は発生しない。立法担当者の池村聡文化庁著作権調査官も「音楽CDや映画DVD等のジャケット画像や書籍等の表紙画像の掲載についても、…適用になるものと解される」(池村聡『著作権法コンメンタール別冊 平成21年改正解説』(勁草書房、2010年)64頁)と言っているぞ。
また、表紙画像の掲載を無断で行うためには、図書・雑誌の貸出しが適法である必要がある。確かに通常は貸与権(著作権法第26条の3)がはたらくが(商売でやっている貸本屋など)、非営利目的で無料で貸し出せば貸与権は制限され、著作権者の了解を得なくても、適法に貸し出せることになっている(著作権法第38条第4項)。普通の公立図書館であれば、この条件は楽々パスするから、心配する必要はないだろう。
「ある一定の範囲内の大きさや画素で表示していれば」OKと言ったが、具体的には著作権法関係の政令(著作権法施行令)や省令(著作権法施行規則)で決められている。それらによれば、コピーについては、カタログやチラシでやる場合には50平方センチメートル以下、デジタル・コピーの場合には32,400画素以下などとされている。ネットにアップロードする場合は、コピーガードしているかどうかにより、分かれている。コピーガードしていない場合は32,400画素以下で、コピーガードしているときは90,000画素以下と決められている。ただしいずれの場合も、取引態様その他の事情に照らして必要最小限度であることや、公正な慣行に合致することなどが求められている。
ちゅーことで、今まで図書館員どもを悩ませていた、貸出資料を紹介するための表紙コピーやウェブサイトへの掲載について、手間が一つなくなったということだな。
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コメント
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下総 殿
レスがめちゃめちゃ遅れて、すまねえな。
ご質問だけど
>社内報(社内の人間だけアクセスできる)にお気に入りのDVDを紹介するコーナーがあります。
>今度、私が輪番でこのコーナーに作品紹介するのですが、文章とあわせてDVDのジャケット写真をつけたいと考えています。
>この場合には、著作権法違反にはならないでしょうか。
ここで取り上げた公立図書館とは違って、あんたが持っているDVDを売ったり貸したりするのではないのなら、文章を書くに当たってDVDジャケットをつけることが、著作権法上の「引用」(32条1項)に該当するのかどうかが問題にある。
「引用」として、著作権者の許諾なく使うことができるのは、次の条件をすべて満たした場合だ。
①自己の著作物(ブログの文章など)を作成することを目的として
②自己の主張等を裏づけし補強することや、他人の考え方などを論評するために利用し
③報道、批評、研究等の目的上、その利用に必然性があり
④自己の著作物と引用で利用する著作物とを対比した場合に、前者の量が後者よりも主となっている
問題となるのは、②と③だな。DVDを紹介するためにジャケットを掲載するのは、一見当然のように思われる。しかし、あんたが書く文章はDVDの内容であって、ジャケットや商品自体ではない。ジャケットの画像が、あんたの文章の内容(紹介する映画のワンシーン、登場人物の肖像など)と合致していれば要件を満たすかもだが、単に商品を買ったりレンタル店で借りるための便宜として掲載するのは、②と③の要件を満たさないだろう。
つーことで、もう遅すぎかもだけど、御参考くだされ!!
投稿: タイゾー | 2011年5月28日 (土) 11時22分
「DVD 著作権」で検索していたらホームページにたどり着いた者です。
質問させていただいてもよろしいでしょうか。
社内報(社内の人間だけアクセスできる)にお気に入りのDVDを紹介するコーナーがあります。
今度、私が輪番でこのコーナーに作品紹介するのですが、文章とあわせてDVDのジャケット写真をつけたいと考えています。
この場合には、著作権法違反にはならないでしょうか。
投稿: 下総 | 2011年3月17日 (木) 15時11分
コメントありがとな
>絵本の表紙カバーを使った紙袋作りの研修をしたのですが、著作権について指摘がありました。
紙袋作りということは、表紙カバーをチョキチョキして貼り付けたりして、紙工作するってことだよなあ?
そういうことだったら、何も心配する必要ないぜ!
コピーとか、ウェブサイトにアップするのだったら、著作権で文句を言われることはあるが、買ってきた本自体をどう切り刻むかについては、著作権は及ばないんだ。買った奴が煮て食おうが焼いて食おうが、ご自由にどうぞという範疇だな。
その意味で
>本の表紙自体は、購入した本の代金となるから必要ない
というのが、正解だな。ただし、それは飽くまで紙工作をする限度であって、コピーとかウェブアップするときはまた別の話になるけどな。
ちゅーことで、安心してくだされ!
投稿: タイゾー | 2011年2月 7日 (月) 22時51分
学校図書館の司書です。
最近、絵本の表紙カバーを使った紙袋作りの研修をしたのですが、著作権について指摘がありました。本の表紙自体は、購入した本の代金となるから必要ないのでは。。という意見もあります。
使用目的は、図書館内のディスプレイや子どもたちへのプレゼントとして配る分で、営利目的ではありません。勉強不足で申し訳ないのですが、教えてください!!
投稿: toko | 2011年2月 7日 (月) 11時33分
コメントありがとう。レスが遅れて、すまねーな。
文化庁職員が「ダメっしょ」という解釈を示したということは、勘違いかもしれないが、仮にそういわれたとしても、Q39で書いたように絶対的な見解ではないわけだ。
ちゅーことで、図書館界の威信をかけて法廷の場で著作権業界にトマホークを打ち上げるつもりで戦い、勝利すればいいんじゃねーかなあ。
投稿: タイゾー | 2010年8月 7日 (土) 07時05分
この解釈、図書館職員向けの著作権講習会の場で文化庁職員が「ダメっしょ」という解釈を示したと聞きましたが、どうなんでしょうか。
まぁ、このところ裁判で解釈が否定されつづけている文化庁のへっぽこ職員の解釈なので、ネグっておけばいいような気もしますが...よろしければコメントください。
投稿: cityheim | 2010年7月31日 (土) 01時48分