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Q45続報:ISO総会・理事会で、規格の著作権に関する決議がされた!

オッス!すっかり寒くなったが、お前ら元気か?

ところで、「Q45:JIS規格に著作権を認めないと、国際標準化戦略に乗り遅れると思うのですが…」の続報だ。なんとだなあ、今年のISO総会と理事会で規格の著作権が話題になって決議されたという、日本全国のJIS著作権マニア垂涎もののニュースが飛び込んできたぜい!

 ときは2010年9月15日~17日、ノルウェー・オスロで開催された第33回ISO総会でのことだ((財)日本規格協会国際標準化支援センター「第33回ISO総会 出席報告書」1頁 )。

 「ISO商標の使用と保護」の議題で、イスラエル代表が「法律(regulations)に引用された国家規格は無料で公開せよとの法的圧力を受けて悩んでいる。」というお悩み相談をしてきた。どういうことかってーと、イスラエルの2007年著作権法第6条を読むと「著作権は、法律、規則、国会規則、裁判所等の判決決定に存在しない」と規定されていて、日本の著作権法と同様に法令に関係する国家規格の著作権を主張できずに、困っているということだ。これは規格の著作権にやかましいISOの翻訳規格に成り下がっている各国の国家規格にとっては悩ましい問題であり、もっともな感想だと言えるな。

 これに対する日本代表のコメントがナイス!と言えるw
日本ではJIS規格の無料閲覧(free viewing)を許すことで無料公開の問題を解決している。free access, free availabilityは分けて考えるべきで、無料閲覧を含む前者は許容範囲と考える。
 つまりはJISCのウェブサイトで、PDFの規格ファイルをプレビューできるようにしているけれど、ダウンロードやプリントアウトをできないようにしているので、著作権保護の必要性と規格普及の要請のバランスをとっていると言わんばかりの自慢をしているんだ。

 ところがどっこい!このコメントにISO事務総長がムカッときたようで「後で理事会にかける」としたのだが、その結果、次のような理事会決議が出されてしまったのだ!(若井博雄「第88回ISO理事会報告」(2010年10月21日) 15頁*下線・斜体部分は筆者加筆

理事会決議 39/2010ISO/GEN 9の改訂版)
理事会は、
該当分野の全規格を確実に整合させるというニーズのみならず、知的財産の保護、特に、ISO規格とその国家採用規格には自由にアクセスできないという事実についてISOの立場を強化するという緊急のニーズを強調し、

ISO/GEN 9 ISOの知的所有権保護に関する方針(理事会文書 29/2010附属書1)の改正原案に会議で提起されたコメントを適宜盛り込み、新たな改正原案を通信で承認されるように理事会に提出するよう事務総長に求め、

その実施まで承認から18ヵ月の猶予期間を認めることを決定する。

「規格に自由にアクセスできない」ということが確認された上にISOとIECの共催で、規格の知的財産権の特訓セミナーをジュネーブで開くことになったんだ!

もうこれで、JISの規格ファイルをウェブでプレビューできなくなるんだろうな!国立国会図書館のように規格の本文全体をコピーする施設にも、クレームを出す可能性はあるだろう。その際に「規格の著作権を保護するため・・・」と例のごとく政府側が言い出すものなら、「主務大臣が制定しているのに、なんでだよー!」って反論すれば、そんなこんなでJISCは今さら民営化に追い込まれるかも知れねーな!せいぜい、JISの著作権をしっかり勉強してねぇー、ってとこだろうなw

【追記:2012.8.19】

ついに、JISC(日本工業標準調査会)の会議で、規格の著作権が話題になったぜ!

日本工業標準調査会事務局「ISO の著作権ポリシー改正について」(平成24年3月)(日本工業標準調査会消費者政策特別委員会第22回(平成24年3月9日)配布資料6)によれば、「ISO 規格(ISO規格を起源とする国家採用規格を含む)のインターネット上での無償公開の禁止」を実施するということだ。ISOの武田貞生副会長によれば「世界的な流れでは、日本が(JISを)…フリービューをしているというのはレアなケース」ということだそうな。これに対しては他の委員から「日本は、閲覧は自由にできるというシステムがあるので、こういった著作権ポリシーがISO で確立されると、我々は自由に見られなくなり、非常に身近な問題である。」など、戸惑いの声が上がっている(日本工業標準調査会消費者政策特別委員会第22回(平成24年3月9日)議事録)。

 いまさら日本のJISC職員や規格業界のやつらの著作権に対する知識のなさを開陳されても困るわけだが、国の機関がJISの無償公開を禁止するというのであれば、せめて「日本工業規格(JIS)の簡易閲覧」「ピリ辛著作権相談室:JISダウンロード」でJISがアップロードされている現状に対する見解を説明すべきだとは思うな(核爆)。

【追記:2015.6.15】

「JISは著作権法13条により、著作権保護されない」という真っ当な学術論文が発表されたぜい!

大西 愛.   標準規格と著作権 : 法規引用された標準規格と,国家規格に関する問題.  知財管理 = Intellectual property management / 日本知的財産協会会誌広報委員会 編.. 65(5)=773:2015.5. 612-628

経産省や日本規格協会は、立場上、どんな見解が示されても「JISには著作権がある!」って強行突破するんだろうが、JISに著作権法で保護ないことは、決定的だな!

「国が言っていることは、法的に正しい」という愚民の皆様は、これを機に人生を見直せよなw

【参照】製造Q&Aサイト 技術の森:JIS規格の閲覧と著作権

        千川大蔵×小熊善之 ツイッターコメント(JIS関係)

     千川大蔵×小形克宏 ツイッターコメント(JIS関係)
 

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