台湾

Q41:海外の著作権法の所管省庁ってどうなっているの?

:オレ、誰でも知っているコンピュータ機器メーカーに勤めてんだけど、ずっと納得行かないことがあるんだよなあ。

それは「私的録音録画補償金制度」。音楽のデジタル録音で作曲家だか作詞家だかが著作権を侵害されているという難クセのせいで、オレ様の会社が作っている内蔵型音源ダウンロード機器に著作権料を課金するとかって言ってんだよ。ただでさえ、製品の値引き合戦が激しいこのご時勢にさあ。補償金制度なんかなくたって、画期的な課金システムを整備しているんだから、いらねーんだしよ。

文化庁はこんな愚策を法制化しようとしている日本の著作権法の所管官庁なわけだが、はっきり言ってよ、文化庁なんて文化財保護やら宗教法人制度なんていう古臭いものを扱っている官庁なんだから、著作権なんていう先進的な法律を扱えるわけはないんだよな。

ちゅうことでさあ、オレ様としては、日本の著作権法の所管省庁を文化庁から、どこかふさわしい省庁に移管すべきであると考えているところだ。そこで先進国ではどこの省庁が著作権法を所管しているのかを教えてほしい。文化庁が所管しているのは日本くらいなんだろうなあ、きっと。

:まずは、てめえの会社がどれだけボロ儲けしているのか、そして課金システムとやらがどのようなからくりで機能しているのかを情報公開してから、質問してほしいものだな。

著作権制度の諸外国の所管省庁についてだが、「先進国」だなんてケチなことを言わずに、全世界を見る必要があるだろうな。以下に、可能な範囲で確認できた国・地域の所管省庁名と、著作権関係の法律名(確認できたもののみ)を、国名のアルファベット順で列記するので見てほしい。なるべく原典に当たる必要があることから、できる限り当該国のURLをリンクした。もちろん言語は英語が基本だがCRIC(著作権情報センター)の邦訳がある法律については付記)、なかにはフランス語・スペイン語・アラビア語・中国語などもある。その点は、お前らの語学能力で克服してほしい。

アフガニスタン 情報文化省

アルバニア  観光文化青少年スポーツ省著作権局

アルジェリア 著作権・著作隣接権事務局

アンドラ 商標特許局 著作権・著作隣接権法

アンゴラ 文化省文化産業国家委員会エンタテインメント・著作権理事会

アンティグア・バーブーダ  法務省知的財産局 2003年著作権法    

アルゼンチン 司法・治安・人権省総務登録局著作権課 1933928日知的財産法 (WIPO英語版

アルメニア 経済省知的財産庁著作権・著作隣接権局 2006年著作権・著作権隣接権法

オーストラリア 司法省民事司法・法務グループ分類・人権・著作権課著作権法担当 1968年連邦著作権法 (CRICサイト)

オーストリア  法務省民事局第1部第4課  1936年連邦著作権法

アゼルバイジャン 著作権庁 著作権・隣接権法


 

バハマ 登録官事務局 

バーレーン 情報省報道・出版担当副長官事務局 2001年著作権・著作隣接権法案

バングラデシュ 文化省著作権局 2000年著作権法

バルバドス 企業・知的財産局 1998年著作権法

ベラルーシ 国家知的財産センター 1998年8月11日著作権・著作隣接権法

ベルギー 法務省立法・自由基本法統括局民事・資産法担当 1994年著作権法WIPO英語版サイト

ベリーズ 知的財産庁  著作権法

ベニン 文化省手工芸・観光・著作権局 2005年著作権・著作隣接権法(英訳版)

ブータン 経済省知的財産局著作権課 2001年著作権法

ボリビア 生産開発・多様経済省国家知的財産局著作権課 1992年著作権法

ボスニア・ヘルツェゴビナ 知的財産庁 著作権・著作隣接権法

ボツワナ 通商産業省企業・ビジネスネーム・商標・特許・意匠登録局

ブラジル 文化省著作権調整担当局 1998年著作権・著作隣接権法 (英語版(WIPOサイト))

ブルネイ 司法長官事務局 ブルネイ・ダルサラーム憲法第83条3項に基づく1999年著作権緊急令

ブルガリア 文化省著作権課

ブルキナ・ファソ 文化・コミュニケーション省長官官房著作権課

ブルンジ 青少年・スポーツ・文化省芸術・文化部 1978年5月著作権制度令

カンボジア 文化芸術省 著作権及び関連する権利に関する法(CRICサイト)

カメルーン 文化省法務局WIPO調整官

カナダ 産業省知的財産局 著作権法

カーボベルデ 文化省

中央アフリカ 観光・芸術・文化省中央アフリカ著作権局

チャド チャド著作権局

チリ 図書館・文書館・美術館管理局知的財産登録官

中華人民共和国 国家版権局(新聞出版総署) 中華人民共和国著作権法(CRICサイト)
香港特別行政区政府 知識産権署
中華民国(台湾) 経済部智慧財産局著作権組 著作権法(英訳) 著作権法(CRICサイト) 

コロンビア 内務司法省特別行政局国家著作権管理官

コモロ連合 内務省情報出版局

コンゴ共和国 文化芸術観光省コンゴ著作権局

コスタリカ 国家著作権・著作隣接権登録局

コートジボワール フランス語・文化省象牙著作権局

クロアチア 国家知的財産局

キューバ 文化省国家著作権センター

キプロス 通商産業観光省企業登録・財産管理局

チェコ 文化省著作権局

朝鮮民主主義人民共和国 著作権局住所・連絡先:KoryoPAT-Rainbow特許商標事務所ウェブサイト 著作権法〔日本語版〕(チュチェ90(2001)年3月21日 最高人民会議常任委員会政令第2141号:北朝鮮Web六法) 著作権法〔英語版〕(KoryoPAT-Rainbow特許商標事務所ウェブサイト)

コンゴ民主共和国 文化芸術省

デンマーク 文化省著作権局 2010年著作権統合法(英語版)

ジブチ コミュニケーション・文化・郵便・通信省著作権・著作隣接権局

ドミニカ国 企業知的財産局

ドミニカ共和国 産業通商長官国家著作権局 2000年8月21日著作権法 2001年3月14日著作権施行令

エクアドル 知的財産局

エジプト 文化省最高文化評議会著作権保護常設局 知的財産権保護法

エル・サルバドル 国家登録センター Legislative Decree No. 808 of 16 February 1994 on Books

赤道ギニア 大統領府科学技術研究会議

エリトリア 情報・文化省文化局

エストニア 文化省

エチオピア 知的財産局著作権管理官

フィジー 司法長官事務局

フィンランド 教育文化省文化・スポーツ・青少年局文化政策課著作権室 著作権法(FINLEX英語版)FINLEXフィンランド語版

フランス 文化・コミュニケーション省事務総局法制官付著作権室 知的所有権法典に関する1992年7月1日の法律(CRICサイト)フランス語版:LEGIFRANCE)(英語版:LEGIFRANCE

ガボン 文化芸術省国家芸術文化促進庁

ガンビア 芸術文化国家センター著作権局

グルジア 国家知的財産センター 著作権・著作隣接権法

ドイツ 法務省第3局ⅢB3    1965年著作権及び隣接権法(CRICサイト)ドイツ語版:ドイツ法務省

ガーナ 文化省著作権局

ギリシア 文化観光省著作権局  1993年著作権・著作隣接権・文化事項法(英訳)

グレナダ 最高裁判所事務局登録局

グアテマラ 知的財産登録局著作権・著作隣接権課

ギニア 文化・芸術・レジャー省公共施設局  (ギニア著作権事務局) 1980年著作権法

ギニアビサウ 青少年・文化・スポーツ省文化・スポーツ管理官著作権局

ガイアナ 捺印証書登録所

ハイチ 文化・コミュニケーション省著作権局

バチカン市国 バチカン市国中央事務局法制室

ホンジュラス 知的財産事務局   1999年著作権法

ハンガリー 知的財産庁著作権局 1999年著作権法

アイスランド 教育科学文化省 1972年著作権法

インド 人的資源開発省高等教育局著作権事務局 1957年著作権法CRICサイト

インドネシア 法務人権省知的財産権局 2002年第19号著作権法(英語版)

イラン 文化イスラム指導省著作権登録官

アイルランド 企業・貿易・雇用省科学技術・知的財産局知的財産ユニッ 2000年著作権法

イスラエル 法務省顧問 2007年著作権法

イタリア 文化財・文化活動省文化財書籍財著者部局Ⅳ課 著作権および著作隣接権の保護に関する法律(1941年4月22日の法律第633号)CRICサイト

ジャマイカ 産業投資通商省知的財産局 著作権法

日本 文化庁長官官房著作権課・国際課 著作権法 (英語版:法務省 日本法令外国語訳データベースシステム

ヨルダン 文化省国立図書館局著作権課 1992年著作権保護法 (英語版)

カザフスタン 司法省知的財産権委員会

ケニア 司法長官府登録局著作権委員会 2001年著作権法(ユネスコウェブサイト) 

クウェート 情報省

キルギス 国家特許庁 著作権・著作隣接権法(英語版)

ラオス 情報文化省国家委員会

ラトビア 文化省著作権課  著作権法 (国連行政財務オンラインネットワークサイト)

レバノン 経済貿易省知的財産保護局 文芸芸術財産保護法

レソト 法律憲法省

リベリア 著作権庁(WIPOサイト) 1997年著作権法(WIPOサイト)

リビア   人民委員会科学研究局

リヒテンシュタイン 貿易交通知的財産局 1999年著作権著作隣接権法

リトアニア 文化省著作権局  著作権著作隣接権法

ルクセンブルグ 経済海外通商省知的財産局

マダガスカル 情報・文化・コミュニケーション省著作権局 文芸芸術財産法

マラウイ マラウイ著作権協会 1989年著作権法

マレーシア 国内取引消費者行政省知的財産公社 1987年著作権法

マリ 文化・コミュニケーション省著作権局

マルタ 財政経済投資省通商局産業財産権登録課 2000年著作権法

モーリタニア 文化イスラム指導省文化局文化協力・知的財産部

モーリシャス 芸術文化省著作権室 モーリシャス著作者協会 2011年著作権法

メキシコ 公共教育省国家著作権局 連邦著作権法

モナコ 財政経済省経済拡大局知的財産課 

モンゴル 知的財産権庁第一副首相担当) アルガイ特許商標事務所

モロッコ コミュニケーション省メディア研究開発局映画・ICT視聴覚促進課国民的番組・映画・著作権法推進室 著作権・著作権隣接権管理団体:モロッコ著作権事務所 2000年著作権・著作隣接権法

モザンビーク 文化省書籍・文書記録局著作権課

ミャンマー 科学技術省 1911年著作権法

ナミビア 情報・コミュニケーション技術省視聴覚メディア・著作権・地域室  著作権法

ナウル 司法省特許商標著作権登録局

ネパール 文化・国家再建省著作権登録局 2002年著作権法

オランダ 法務省立法局 1912年著作権法 (オランダ法務省非公式英訳)

ニュージーランド 経済発展省知的財産局 1994年著作権法

ニカラグア 通商産業振興省市場競争透明化局知的財産登録課著作権著作隣接権室 著作権法(WIPOサイト)

ニジェール 青少年・スポーツ・文化省著作権局

ナイジェリア 情報・文化・観光省著作権委員会 (ナイジェリア著作権団体

ノルウェー 文化省メディア政策・著作権局 1961年文芸学術芸術著作物財産権関連法

オマーン 通商産業省  2008年著作権・著作隣接権法

パキスタン 内閣府知的財産庁著作権局 1962年著作権令

パラオ 資源発展省

パナマ 教育省著作権局

パプア・ニューギニア 司法長官事務局

パラグアイ 商工省知的財産局 1998年著作権法

ペルー 産業・観光・統合・国際貿易取引省競争・知的財産保護局  1996年著作権法

フィリピン 大統領府知的財産局 知的財産法典、権限・機能の付与、その他の目的のための知的財産局設立を命じる法律(共和国法第8293号)

ポーランド 文化・国家遺産省法制部

ポルトガル 文化戦略・企画・評価局法制訟務助言課   2008年知的財産法 

カタール 経済通商省産業財産権局  2002年著作権著作隣接権保護法

大韓民国 文化体育観光部文化コンテンツ産業室著作権政策課(日本語版) 著作権法(CRICサイト)

モルドバ 知的財産庁 著作権著作隣接権保護法

ルーマニア ルーマニア著作権局

ロシア 知的財産庁 民法第4編第7節(英語版)  CRIC(日本語版)

ルワンダ スポーツ・文化省 

セントクリストファー・ネイビス 最高裁判所登録官

セントルシア 企業・知的財産権登録局

セントビンセントおよびグレナーディン諸島 通商・知的財産登録局  2003年著作権法(WIPOサイト)

サモア独立国 司法裁判運営省  著作権法

サンマリノ 外務省経済社会局

サントメ・プリンシペ 教育・文化・青少年・スポーツ省

サウジアラビア 文化情報省著作権総局 著作権法(イスラム歴1410 年5 月19 日の勅令第M/11 号)(日本貿易振興機構『模倣対策マニュアル 中東編』(2009年)335頁以下)

セネガル 文化・フランス語圏省著作権事務局 著作権著作隣接権法(UNESCOサイト)

セルビア 知的財産庁著作権著作隣接権局 2004年著作権著作隣接権法(英訳)

セーシェル共和国 芸術・スポーツ・文化省芸術・文化局国家遺産課国際協力ユニット

シエラレオネ 文化観光省文化局知的財産課

シンガポール 法務省知的財産局 著作権法

スロバキア 文化省メディア・著作権局 2003年著作権著作隣接権法

スロベニア 経済省知的財産局 1995年著作権著作隣接権法

ソロモン諸島 警察司法省登録官事務局

南アフリカ 貿易産業省企業・知的財産登録局 1978年著作権法

スペイン 文化省知的財産局 1996年著作権法(スペイン語) (英語版)

スリランカ 知的財産庁 2003年知的財産法(第1章:著作権 第2章:著作隣接権

スーダン 文化・青少年・スポーツ省文芸芸術作品最高委員会

スリナム 知的財産局

スワジランド 司法憲法省登録官事務局

スウェーデン 法務省知的財産・交通法局 1960年著作権法

スイス 知的財産局法制・国際部著作権法担当 1993年4月26日著作権・著作隣接権保護に関する指令

シリア 文化省著作権局

タジキスタン 文化省著作権著作隣接権庁

タイ 通商省知的財産局 1994年著作権法日本語版 ジェトロ・バンコクセンター) (日本語版 CRIC

マケドニア旧ユーゴスラビア 文化省著作権著作隣接権保護局

トーゴ  文化・青少年・スポーツ省著作権事務局 1991年著作権・フォークロア・著作隣接権保護法 *参照:トーゴ共和国法令データベース

トンガ 労働通商産業省 2002年著作権法

トリニダード・トバゴ 法務省知的財産局

チュニジア 著作権保護局

トルコ 文化観光省著作権・映画総局著作権課 知的財産美術作品法

ウガンダ 司法憲法省登録局

ウクライナ 教育科学省知的財産局 (ウクライナ著作権事務所)  1993年著作権著作隣接権法

イギリス ビジネス・イノベーション・技能省知的財産庁 1988年著作権・意匠及び特許法CRICサイト

タンザニア 経済貿易省ビジネス登録・ライセンス庁著作権局

アメリカ合衆国 議会図書館著作権局 1976年著作権法 (CRICサイト)

ウルグアイ 教育文化省著作権委員会 1937年著作権・著作隣接権法

ウズベキスタン 著作権庁 (英語版ポータルサイト)

バヌアツ 国家文化評議会 2000年著作権・著作隣接権法

ベネズエラ 司法省知的財産自治総局著作権管理官

ベトナム 文化情報省著作権庁 ベトナム著作権関連法(英語版) ベトナム知的財産法典(抄)(CRICサイト) ベトナム社会主義国民法典(抄)(CRICサイト)

イエメン 文化省

ザンビア 情報放送省著作権局

ジンバブエ 司法法制省証書・会社・商標・特許・意匠局 著作権著作隣接権法

WIPOウェブサイト"Member States"などを参照】

以上の各国(182カ国2地域)の所管省庁を分類別に集計すると、下記のようになる。

①文化・教育・科学技術・著作権系 88カ国

②産業・通商・知的財産系 53カ国2地域

③法務・司法・裁判所・登記所系 32カ国

④内務・情報出版統制系 4カ国

⑤通信・放送系 3カ国

⑥外務省 1カ国

⑥国会 1カ国

見てのとおり、断然に①の教育・文化系が多くなっている。いっとき、デンパ行政の官僚が、放送免許制の問題点をそっちのけにして、放送と通信の融合をわめいた上に、議員に働きかけて著作権法も所管する「情報通信省」なる省庁再々編をぶちあげていたが、いかにそれがくだらないことが分かるだろう。再々編が実際された場合に、図書館員からのマニアックな電話相談に親身に乗る覚悟ができていれば、別だがな。

ちゅーことで、残念ながら、諸外国を参考にして著作権制度の所管省庁を決めようとする場合には、現状維持にならざるを得ないだろうな。

Q39:100%正しい著作権の答えがほしいのですが…

:こんにちは。私はITベンチャー企業の経営者です。子どものときからパソコン好きだったのが高じて会社を立ち上げたのですが、でっかい組織の歯車になるよりもずっとやりがいがあると思っています。

 これからやろうとしている事業としては、インターネットを通じたコンテンツ送信サービスを考えています。規制がいっぱいある地上波放送に比べると、チャンスがいっぱいありそうですからね。ところがベンチャー仲間から聞いたところによると、著作権の規制がたくさんあって何も知らずに事業を始めると著作権者から苦情が来ると聞きました。

 もちろんコンプライアンス重視なので法を守って事業をしたいと思っていますが、何が正しくてどうすれば100%確実に訴えられることなく、しかもコストをかけずにビジネスができるのかを真剣に考えています。特に著作権法では、私的に使う場合などには無断で利用できると聞いたことがありますので、そういう制度を十二分に活用したいと思っています。

 そこでお願いなのですが、どこに著作権法のことを聞けば確実な答えがもらえるのでしょうか?裁判は絶対いやなので(この前通知が来た裁判員候補者も拒否したいくらいですw)裁判所には聞けず、また余計なお金は払えないので弁護士にも聞けませんが、やっぱ所管省庁なのでしょうか?それとも著作権法学者や電話相談室などでしょうか?ぜひ教えてください!

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あるわけねぇ~だろ!(爆)。てめえのような甘ちゃんが多いんだよな。ネットの掲示板で著作権のスレッドを見ても、教えて君ばかりだしよ。今回は著作権に関して示される見解の意義や生かし方を考えてみよう。

 そもそも論として、お前が言っている「100%正しい著作権の答え」とはいかなる場面で効果を発揮するのか?規制行政に飼いならされた世間の大方のやつらは、所管省庁に「あ~、それは大丈夫ですよ」って答えてもらって、それをてめえに文句をいう奴に対して、水戸黄門の印籠のごとく「○○省(庁)は俺が正しいと言っている」と誇らしく主張して、自分の思い通りに事を運ぼうと期待しまくっている。

 だがなあ、このブログで何度もなんどもしつこく言っているように、著作権法は行政規制法ではない著作権はあくまでも私権であり、著作権行使による文句の矛先は所管省庁(文化庁)ではなく、権利者に向けなければ問題は解決しない。「政府規制の問題であれば、政府ないしは官庁が自己の有する権限を手放せば済む場合も多いが、著作権の場合は、著作権という私権の内容をどのように再構成するか、あるいは既得権となっている著作者・著作権者の権利をいかに制限するかという問題」というわけだ(中山信弘「著作権法と規制緩和」西村あさひ法律事務所西村高等法務研究所編『西村利郎先生追悼論文集 グローバリゼーションの中の日本法』(商事法務、2008年)386頁)。したがって所管省庁(文化庁)に電話して、自分が有利に進めたい著作権の質問事項について「愛していると言ってくれ~!(むかし、そんなドラマがあったなあ…)と求愛するが如く、電話に応対しているやつに「イエス!」と言ってもらえるまで粘るのは無意味というものだ。まして「それはケース・バイ・ケースで、裁判しないと分かりませんねえ…」と回答されたときに「ざけんじゃねぇ、俺が裁判できるわけねーだろ!!」と逆ギレするのは愚の骨頂というべきである。

 ここで「裁判しないと分かりません」と書いたが、どういうことなのか?これは正に憲法で規定する三権分立の問題だろう。国家の立法・行政・司法の権限のうち、立法権は国会(日本国憲法第41条)に、行政権は政府(同第65条)に、司法権は裁判所(第76条)にそれぞれ属している。したがって著作権に限らず、自分の身に起こっている揉めごとを相手方との交渉ではまとめきられず、国家に公的に介入してもらって解決したい場合には、弁護士を雇うなど身銭をきって裁判に臨む必要がある。

 国家の権限が三権に分かれている結果として、それぞれの機関の見解が異なることがありうる。その典型例が、映画「シェーン」事件最高裁判決(最判平成19年12月18日民集第61巻9号3460頁)だろう(吉田利宏・いしかわまりこ「法令読解心得帖 法律学習はじめの一歩 第25回 法律の解釈権」法学セミナー第649号[2009.1]58-61頁)。この事件は、映画の著作物の著作権保護期間(著作権法第54条第1項)を公表後50年から70年に延長した「著作権法の一部を改正する法律(平成15年法律第85号)」は平成16年1月1日から施行されることになっていたが(同法附則第1条)、同法附則第2条において「改正後の著作権法(次条において「新法」という。)第54条第1項の規定は、この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存する映画の著作物について適用し、この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が消滅している映画の著作物については、なお従前の例による。」と規定されていたことから、改正前の規定によれば平成15年12月31日には著作権が存在するが平成16年1月1日は著作権が消滅している昭和28年公表の映画の著作物の保護期間も20年間延長されたのかどうかが争点となった。

 この点、原告からは次のように、平成15年法改正における文化庁、内閣法制局の立法作業経緯、国会の立法者意思から見て、20年間延長していると主張している(東京地裁平成18年10月6日判決(平成18(ワ)2906)12頁)。

「 平成15年4月に,内閣法制局第2部において,著作権担当の参事官が担当の部長に,本件改正法における映画の著作物の著作権保護期間についての経過措置の内容を説明することになっていたが,文化庁は,その説明のための資料として,「平成15年法改正法制局第2部長説明資料」と題する書面(以下「本件資料2」という。)を作成し,実際に,内閣法制局第2部では,著作権担当の参事官が本件資料2を示して担当部長に説明を行った。本件資料2には,「第54条の映画の著作物の保護期間延長の規定が来年(2004年)1月1日に施行される場合,本年(2003年)12月31日まで著作権が存続する著作物については,12月31日の午後12時と1月1日の午前0時は同時と考えられることから,『施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存するもの』として保護期間が延長されることとなる」と明確に記載されているが,本件資料2に記載された「映画の著作物の保護期間についての経過措置」の原案がそのまま第156回国会において「著作権法の一部を改正する法律案」として提出されていることから,内閣法制局が平成15年12月31日の午後12時と平成16年1月1日の午前零時は同時である,すなわち,昭和28年に公表された映画の著作物は,改正著作権法の適用を受けると考えていたことは明らかである。
 そして,上記「著作権法の一部を改正する法律案」が第156回国会による審議を経てそのまま成立していることから,立法者である国会も,平成15年12月31日の午後12時と平成16年1月1日の午前零時は同時である,すなわち,昭和28年に公表された映画の著作物は,改正著作権法の適用を受けると考えていたことも明らかである

 少し補足すると、著作権法などの法律案を政府が作成して国会の審議にかける場合、各省庁が法律案原案を作成した上で、内閣法制局からその内容が憲法に違反しないか、他の法令に抵触しないかなどの法令審査を受ける必要がある。上記の主張にあるように、参事官や部長のOKをもらう必要があるわけだ。この審査を通過すれば事務次官等会議、閣議決定を経て国会に提出されることになる(内閣法制局ウェブサイト「法律ができるまで」参照)。したがって、保護期間の延長について昭和28年公表の映画の著作物も保護期間延長の対象になるという見解は、法制局審査を通過したことから、正式な政府解釈であるということができる。

 しかし上記最高裁判決では「『この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が消滅している映画の著作物については,なお従前の例による』と定めているが,これは,本件改正法の施行日において既に保護期間の満了している映画の著作物については,本件改正前の著作権法の保護期間が適用され,本件改正後の著作権法の保護期間は適用されないことを念のため明記したものと解すべきであり,本件改正法の施行の直前に著作権の消滅する著作物について本件改正後の著作権法の保護期間が適用されない」「本件映画を含め,昭和28年に団体の著作名義をもって公表された独創性を有する映画の著作物は,本件改正による保護期間の延長措置の対象となるものではなく,その著作権は平成15年12月31日の終了をもって存続期間が満了し消滅したというべきである。」として、保護期間の延長を否定した。

 このような裁判所の判決については批判もあり(作花文雄「映画『シェーン』事件知財高裁判決―引き続く混迷の様相」コピライト2007年5月号51-64頁、同「『シェーン』事件最高裁判決の残した課題」コピライト2008年2月号40-48頁)、また「『小津安二郎作品の保護期間をつなげるために法改正するんです』と、私は何百人もの国会議員に説明した」としこのような本来の法改正目的が国会質問されなかったことを嘆く声もある(岡本薫「特別講演 『WIPO新条約と利用可能化権の創設』(抄)」『2007年度 ALAI JAPAN国際研究大会講演録~シンポジウム「権利の制限と3-step-test」』(ALAI JAPAN 事務局、2008年)20-21頁)。しかし、立法者意思についてはあくまでも一つの解釈の材料、根拠という位置づけであり、司法判断を受けたものではない政府解釈については裁判所で誤ったものであると判断されることがある旨の指摘がなされているところである(杉浦正樹「最近の著作権裁判例について」コピライト2007年2月号20頁)。

 一方で過去の裁判例では、図書館等の複製に係る著作権法第31条で規定する著作物の単位が争点となった多摩市立図書館複写拒否事件(東京地判平成7年4月28日判時1531号129頁)や、北朝鮮・台湾の国民が作成した著作物が日本の著作権法で保護されるかどうかを争った北朝鮮テレビ放映事件(東京地判平成19年12月14日 平成18(ワ)5640 平成18(ワ)6062(「Q9:台湾人の著作権って、日本で保護されるの?」、「1万アクセス突破だぜ!!」参照)などではいずれも文化庁の見解を採用しており、政府解釈と司法判断の関係については注意する必要があるだろう。

 以上のように、著作権の解釈に対する評価は、私人間の交渉、行政との関係、裁判所との関係など、場面によって異なるといえるだろう。したがって、著作権に関する「正しい答え」を所管省庁、著作権法学者、電話相談室などの誰かに寄りかかって解決することはできないだろう(そういう奴に限って、期待する結果を得られなかったときに責任をなすりつけようとするんだよな)。要は自分が主体となって、どの機関を利用するかをケース・バイ・ケースで考える必要があるというわけだ。場合によっては、身銭を切って弁護士に法律相談する必要もあるだろうな。

 自分で何とか考えたいと改心した奴は、著作権法を解釈するための「よりどころ」として、①裁判所の示した見解、②政府の見解、③著作権法の立案作成者の見解、④著作権法の学者の見解、⑤権利者団体から示された見解、などに沿って、結論を導くことも考えられる(南亮一「マイクロフィルム及び電子媒体の著作権問題 第12回(最終回) 著作権の解釈を行う方法について」月刊IM Vol.48 No.2[2009.2]19-22頁)。確かに、このように法解釈の見解をリサーチして、それによって問題を解決することは、ある程度は有効であり、恣意的な出鱈目解釈よりはずっとマシだろう。しかし、やはり他人の権威を笠に着ていることに変わりはなく、新しい問題や、図書館の問題のようにまともな裁判例がなく、多くの法律家から放置されている領域については、有用ではないおそれもあるだろう。

1万アクセス突破だぜ!!

 オッス!タイゾーだあ。お前ら日中は忙しいのに、こんなブログを見てくれてありがとな!おかげでブログ開設から1年1ヶ月経過した2月上旬にして1万アクセスを突破して、この『ピリ辛著作権相談室』もセカンド・フェーズに突入したぜ!

 そこで、今までのQ&Aを振り返るっつーことで、このコーナーを設けた。ココログ・アクセス分析を通じて、このブログのみならず、著作権に対する世間の関心が垣間見られるぜ。

 まずは、2007年11月1日―2008年2月22日まで(総アクセス数 6507)のページ毎アクセス数トップ10を分析するぜ。

 1位の「Q15:バーチャルアイドルに自作の歌を歌わせたいのですが」はトップページ(アクセス数:996)を抜かして、ぶっちぎりでアクセス数(1,656)が多い。これは初音ミク・ブレイクの影響のようだな。いろんな掲示板やネットニュースでリンクが貼り付けられたようだ。「初音ミクが著作権を揺るがす」と言ってる奴がいるようだが、プログラムが出す音声について実演家の権利を処理しなくて済むだけで、それ以上何か目新しいものは見当たらないのだが。

 3位の「Q18:JIS規格って著作権で保護されるの?」は、11月アップという後発組ながら健闘している(アクセス数:333)。これはJISの著作権についていかに関心が持たれているかを裏付ける。業界の掲示板では、経産省や日本規格協会がJIS(本体)の著作権を主張することについてかなり疑問を呈する書き込みが見られる。それらによれば、経産省の担当に電話で根拠を尋ねても「(著作権を所管する)文化庁にJISの著作権を認めてもらった」としか答えないらしいが、そんな証拠(文書、通知など)がどこにあるっつーんだ。仮に「あるかもしんねーな」とお情けで言ってもらったとしても、行政規制法でない以上、文化庁が言ったことと裁判所の判断が絶対に一緒である(=法律上の争いで勝つ)と言うことはできないはずであり(この点を勘違いする奴らが激しく多いが)、根拠規定で説明できない以上、終わっているとしか言いようがない。この点については「Q39:100%正しい著作権の答えがほしいのですが…」も参照してほしい。

 4位の「Q11:愛娘の写真がネットでアップされたのですが」も健闘している(アクセス数:292)。質問で取り上げたロリコン野郎がそれらしいワードの検索でたまたま来た形跡もあるが、肖像権に対する関心の高さが伺える。いくら世間が「著作権フリーにすべき」「著作権保護期間延長は国民の利用を妨げる」と言ってもだなあ、著作権ってこういう家族などの私事に渡ることにも関わることを忘れてはならない。

 5位の「Q9:台湾人の著作権って、日本で保護されるの?」は、執筆時(8月)から4ヶ月経って、北朝鮮のテレビ放送の日本での放映を巡る裁判の判決(東京地判平成19年12月14日 平成18(ワ)5640 平成18(ワ)6062が出たことからアクセスが急増したようだ(アクセス数:278)。俺様は決してこの事件を知っていたわけではないが、このような争いが発生することは2003年に北朝鮮がベルヌ条約に加盟した時点で必然であったといえる。俺様がここで書いたこととほぼ同じことが、裁判所の判決文に記載されているのは笑えるがな。なお、この判決について、国家承認と多数国間条約の効力の関係等の国際公法の観点から解説したものとして、江藤淳一「北朝鮮の著作物にベルヌ条約が及ばないとされた事例」判例速報解説 TKCローライブラリーがある。

 6位の「Q12:著作権ってどうしたら放棄できるの?」は、著作権がなぜ発生するのか、なぜ権利行使されるのかについて根本的に問うものだろう(アクセス数:266)。権利行使せずみんなに使ってもらいたいの思うのであれば、著作権を放棄すればいいだけだ。また理系学者は自分の業績を増やし周知させることが研究目的であることから、自分の研究論文から著作権が発生することを学術情報流通の障害と考えているようだが、それだったら著作権放棄をすればいいだけのことだ。

 著作権行使の本質は、俺様からすれば「気分」の問題に過ぎない。俺が書いた雑文を、気に食わない隣の禿げ親父に1頁当たり1億円で売りつける一方で、美人の女子大生に無料であげても誰にも咎められることはない(もちろん著作権法上も)。それによって俺様が市場の信頼を失うというリスクを負うに過ぎない。いやなら「買わない」という対抗手段を行使するまでだ。なので文献複写の著作権料が不当に高いことについて役所に苦情を言っても、「はいはい、また勘違い野郎が来ましたか、発狂しそうだぜ。。。」と思われるのがオチだな。

 8位の「Q13:星の王子さまってフランスでは著作権があるの?」は、保護期間の延長においては、相互主義を忘れてはならないことを思い起こさせるものだ(アクセス数:140)。いくら日本が単独で著作者死後50年を死守してもだなあ、(実際に利用する著作物を大量に生産する)主要先進国が死後70年になればビジネス上の不均衡が生ずることは避けられない。日本の著作物を死後70年の国で売り込んでも、死後50年を経過すればフリーで使えてしまうのだから(例外はあるが)。そもそも50年維持を主張する奴らは50年を保護期間とする積極的な理由を考えているのだろうか。50年以前に著作権創作後0年であってほしいという厚かましい奴らがほとんどなんでねーの。消費税はいやだけど、とりあえず5%課税になっていてその増税がいやだから、とりあえず5%にすべきだ、と言ってるような感じで。

 それでは次に同期間の各都道府県からの訪問者数(分析可能分)を見てみよう。

1 東京 482 32.4%
2 大阪 107 7.2%
3 神奈川 103 6.9%
4 埼玉 90 6.1%
5 愛知 75 5.0%
6 千葉 68 4.6%
7 静岡 46 3.1%
8 福岡 42 2.8%
8 北海道 42 2.8%
10 京都 37 2.5%
11 茨城 35 2.4%
12 兵庫 33 2.2%
13 三重 27 1.8%
14 石川 23 1.5%
14 宮城 23 1.5%
16 福島 20 1.3%
17 秋田 17 1.1%
17 広島 17 1.1%
19 新潟 14 0.9%
20 岡山 12 0.8%
20 大分 12 0.8%
20 鹿児島 12 0.8%
23 岩手 11 0.7%
23 長野 11 0.7%
25 青森 10 0.7%
25 栃木 10 0.7%
25 沖縄 10 0.7%
25 滋賀 10 0.7%
25 山口 10 0.7%
30 岐阜 9 0.6%
31 宮崎 7 0.5%
31 熊本 7 0.5%
33 愛媛 6 0.4%
33 鳥取 6 0.4%
35 福井 5 0.3%
35 群馬 5 0.3%
35 香川 5 0.3%
38 奈良 4 0.3%
38 富山 4 0.3%
38 徳島 4 0.3%
41 山梨 3 0.2%
41 佐賀 3 0.2%
41 山形 3 0.2%
41 長崎 3 0.2%
45 高知 2 0.1%
46 島根 1 0.1%
 以上を見ると、いかに東京に情報が一極集中(全体の3割強)しており、地方では著作権に関心がもたれていない(あるいはそもそも著作権に触れる機会がない)かが分かるだろう。情報格差という奴だな。地方発で有名になったブログがあることを考えると、単に地方にインターネットが普及していないということはできない。人口比を考慮しても、著作権を話題にする者が日本では東京都内の住人(あるいは勤め人)にほとんど限定されていることが分かる。
 とすると、「ダウンロード禁止規定に反対」「保護期間延長反対」という声は、実は東京ないしは首都圏にいる奴ら限定の意見なのではないのか、という疑いすら出てくる。著作権を普段話題にしない地方の奴らにも著作権がどういうものかを知らせ、どう思うのかを聞いてみる必要があるだろう。それを考えると、現代の著作権法は「都市型法」であり著作権の普及はまだまだ足りないと言わざるを得ない。
 各県別で見ると、石川県がいくつもの政令指定都市所在県を追越し、宮城県と同位の14位というのは注目に値するだろう。俺様は石川県のことはまったく知らないが、誰か石川県民(出身者)で著作権関係者がいるのだろうか。
 つうことで、これからもこのブログをよろしくな!

Q9:台湾人の著作権って、日本で保護されるの?

:タイゾーさん、こんにちは!Q4の映画盗撮の話ではいろいろ質問に答えてくださって、ありがとうございます。すいませんが、またまた質問します。

 哈日族(ハーリーズゥ)って知ってますか?日本のアニメや文化などに興味のある若い世代をいい、台湾の漫画家で日本大好きな哈日杏子(ハーリーキョウコ)さんが作った言葉だそうです。私はこの哈日杏子さんの漫画が好きで、本も何冊か持っています。

 この前、ネットを見ていたら、漫画をスキャンしてアップしている掲示板があって、その中に私が持っている哈日杏子さんの漫画の画像がありました。

 さっそく掲示板の管理人の方に「それは著作権侵害に当たるので、すぐに削除してください」ってメールしました。すると管理人の方からの返信では「哈日杏子は台湾人で、台湾は日本政府と国交をしていない未承認国家。そういう未承認国家の著作権は守らなくていいって、政府が言っています。その例として北朝鮮がありますよ。」って書いてありました。

 これって、本当なんですか?著作権って人権なんだから、どの国の方でも守らないといけないんですよねえ?どういうことなのか、教えてください。

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:また来たんだな、Q4の乙女さん。あんたの質問だったら、ほかのしけた質問を飛ばして、すぐに答えてあげるよ。

 「著作権って人権」ってどっかで聞いたことがあるが、憲法の基本的人権とは違い、世界どこに行っても通用する権利じゃないぞ。あくまで、国の法律によってつくられた権利だ。そして原則として日本の法律は日本だけで、台湾(中華民国)なら台湾国内だけに効力が及ぶ。これをまずはおさえてほしい。

 その上で、わが国の著作権法で保護を受ける著作物(第6条)を確認しよう。

1.日本国民の著作物

2.最初に国内において発行された著作物(最初に国外において発行されたが、その発行の日から30日以内に国内において発行されたものを含む。)

3.前2号に掲げるもののほか、条約によりわが国が保護の義務を負う著作物

 哈日杏子の漫画が1.に当たらないとして、2.に該当することはありうるだろう。その限りでは掲示板の管理人が言っていることが当てはまらない場合があることになる。

 では、2.にも該当しない漫画についてはどうか?

 こういう場合がまさに、ベルヌ条約などの著作権国際条約の出番だろう。各国の著作権法は各国内でしか通用しないが、国外にも流通する著作物について国外に著作権を主張することができないとなると不都合であるため、そのような国際条約が多数国間で締結されているのだ。

 台湾について言えば、ベルヌ条約には加入していないが、WTO設立協定には2002年1月1日に加盟しており、これと一体となっているTRIPS協定第9条で「加盟国は、1971年のベルヌ条約の第1条から第21条まで及び附属書の規定を遵守する。」とされているため、台湾人の著作物は第6条第3号の「条約によりわが国が保護の義務を負う著作物」として、日本の著作権法で保護されることになる。

 では、掲示板管理人が「未承認国家の著作権は守らなくていいって、政府が言っています。」と言ったのは、どういうことなのか?

 これはおそらく、北朝鮮が2003年にベルヌ条約に加盟したときの政府の見解を元に言ったものだろう。このとき、日本と北朝鮮との間で著作権が発生するかどうかについて、

日本は北朝鮮を国家として承認していないため、北朝鮮がベルヌ条約に加盟しても、日本に対して法的な効果を一切及ぼすことはなく、日本との間で条約上の権利義務関係が生じることはない。」というコメントを文化庁が出している(『コピライト』20037月号13頁)。

 そうなると、日本の未承認国家である台湾に対してもまた、日本では条約上の権利義務は発生しないのか?

 ところがどっこい、台湾はWTO設立協定には、実は国家として加盟していない。2001年9月18日のWTOのプレスリリースで、"WTO successfully concludes negotiations on entry of the Separate Customs Territory of Taiwan, Penghu, Kinmen and Matsu"と報じているように、独立の関税地域(チャイニーズ・タイペイ)として加盟している。WTO設立協定では、国家だけでなく独立の関税地域も加盟でき(第12条)、内国民待遇など、「国」を含む規定において、国と同等に独立の関税地域にも適用されるのだ(注釈)。関税地域ということであれば、北朝鮮の場合とは異なり、国家承認をしているかどうかは条約の効力に影響を及ぼさない。

したがって、台湾人の哈日杏子の漫画は、日本の著作権法6条3号により著作権は保護されることになり、哈日が著作権侵害を主張すれば、さっきの管理人は責任を問われることになる、っつーことだな。

【追記】
北朝鮮映画テレビ放映事件
東京地方裁判所判決 平成19年12月14日

平成18(ワ)5640   平成18(ワ)6062

知的財産高等裁判所判決 平成20年12月24日

平成20(ネ)10011 平成20(ネ)10012

最高裁判所第1小法廷判決 平成23年12月8日

平成21(受)602

【参照】

台湾における著作権侵害対策ハンドブック2』(文化庁、平成23年3月)112-113頁

文化庁『著作権なるほど質問箱』「私は台湾人ですが、私の書いた絵画は日本で保護されますか。