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Q46:特許公報って自由にウェブにアップできるの?

:はじめまして、こんにちは。私はあるメーカーの特許部に勤務するサラリーマンです。毎日、特許情報をリサーチする日々です。

 リサーチするのに、ウェブサイトの特許電子図書館(IPDL)で検索した特許公報(明細書、特許請求の範囲、図面、要約書など)を使うことが多いのですが、この特許公報を社内に配布するのはもちろんのこと、ウェブにアップして技術情報を業界で共有できたらいいなあって、考えています。
 特許電子図書館に掲載されているくらいですから、特許公報に掲載された書面の著作権者に無断で、企業がアップしてもOKですよねえ?でも社内の法務部から著作権法上の根拠を聞かれたので、それが分からないとアップできない状態です。

 特許公報を無断でウェブにアップできる根拠をぜひ教えてください! 

:特許公報か。IPDLは工業所有権情報の検索では便利だわな。もっとも、著作権専門の俺様にとっては、せいぜい受け狙いで、ドクターなんとかのくだらない発明や、商標を検索するくらいで、仕事でまともに利用したことがないがな。

 質問していた特許公報がIPDLにアップできることの根拠だけどなあ、著作権法上にはなーんもない(爆)

 特許公報の内容に著作権があるかどうかについて考えると、著作物に当たるかどうかが問題になる。著作物とは「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術美術または音楽の範囲に属するもの」をいうが、特許公報に掲載されている明細書、図面、要約書などは、これに当たると言っていいだろう。

 次に、特許公報は国が発行したものだから、それに掲載されている明細書などは、ハナから著作権なんてねーんじゃねーの?ってことが問題になる。著作権をちょっとは知っている奴だったら、国の法令、通達などには著作権なんかねーって定めている著作権法第13条を思い出すかもしれないな。「Q18:JIS規格って著作権で保護されるの?」でもしつこく言ったように、JIS(日本工業規格)のように国が定めた規格とかの原案を企業などの民間人が下働きで作っていたとしても、問答無用で著作権が発生しないからな。
 でも残念ながら、特許公報にはこの規定は適用されない。著作権法第13条に「特許公報」が列挙されていないことはもちろんのこと、JISとは違って、「国…が発する」(同条第2号)ものではないからだ。特許公報はあくまで、特許庁長官が特許権の設定の登録をお知らせしているに過ぎない(特許法第66条第3項参照)。また特許明細書などには出願人などの名前が明記されていて、国の名義で公表しているものでもないから、官公庁名義で発行した白書、統計資料について刊行物への転載を認める規定(著作権法第32条第2項)も適用できない。

 この点、東京大学名誉教授の中山信弘氏は、『著作権法』(有斐閣、2007年)43頁で、特許公報に掲載される特許明細書を特許庁以外の第三者が利用することについて
無断で特許明細書を複製すると、形式的には著作権侵害となる可能性がある。…現行法では…例外は認められていない。と説明しているぜぃ。

 こんなこと言うと「え~、法律で決められていることにしたがって役所に文書を提出するのに、著作権がどうとか言われる筋合いはないよ」って愚痴が飛んでくるのが目に浮かぶように聞こえるが、はっきり言って、官公庁がどんな命令をして著作物を国民どもから持って来させようが、著作権法にとっては関係ないことなんだ!コピー、ウェブへのアップなど、著作権で権利者に無断でできるのは、図書館で調査研究目的の利用者に対して渡す場合のように、あくまで著作権法で列挙された利用行為だけだ。

 例えば、警察署に届ける車庫証明など、官公署に提出する「許認可申請書類・届出書類」に住宅地図のコピー添付する場合には、地図コピーに住宅地図会社が販売している「複製許諾証」の貼付が必要だと説明されているゼンリン:地図複製等利用のご案内。警察に車庫証明するために必要な文書をコピーすることについては、著作権法で権利を制限する規定がないからな。

 では特許公報についてはどうなのか?この点かつての「特許電子図書館利用上のご案内国立国会図書館インターネット資料収集保存事業により収集したもの)では、「特許電子図書館で提供する公報等の情報は著作権の対象となっておりますが、原則、特許電子図書館から取得した情報であるとの出典を明記していただくことにより、改変しない限り引用及び複製を行うことができます。」と説明していた。一見もっともらしいが、どこかヘンテコだ。何でかってーと、特許公報に掲載される特許明細書などを書いているのは弁理士など出願関係者であるから、そいつらが著作権をゲットしているはずである。だから、その利用について特許庁や独法が指図する権限はない。引用は著作権法上の規定の範囲なら言われるまでもなく可能であり、複製も私的利用目的の範囲なら同様だ。「出典を明記」すれば特許公報を利用できるなんて、著作権法のどこにも書いてないぞ。そんな風に俺様がこのブログでわめいたところ、その後の「特許電子図書館利用上のご案内」では、そんな能書きが削除され、「特許電子図書館で提供する公報に掲載されている特許請求の範囲、明細書、要約書の文章等や図面に掲載されている文章や図面等は、通常、その創作者である出願人等が著作権を有していますので、転載する場合には許諾が必要になることがあります。」とシンプルに説明されている(下記のとおりすがり氏のコメント参照)

 一応念のために言うと、特許審査手続で非特許文献(特許公報等に掲載された特許文献以外の論文、書籍、パンフレット、マニュアル、新聞等)について、出願人に送付するための審査官の複製や、審査官からの求めに応じるための出願人による複製については、著作権法第42条第2項で著作権が制限されている(文化庁 著作権法の一部を改正する法律の制定について 問7 「特許審査」手続等における文献の複製と「薬事行政手続」における文献の複製について、例外的に無許諾で行えることとする趣旨を教えてください。(第42条第2項) 参照)。しかしこの規定の目的は、あくまで出願特許の拒絶査定で、発明がすでに誰かによって開発されていることなどが書かれ、特許をゲットするための要件を満たさない「ゴミ発明」であることが、文献の著作権者の許諾が得られないばかりに判断できず、その結果「ゴミ発明」にも特許権が与えられて、日本の国際競争力を損なうことを防止するためのものだったんだ(文化審議会著作権分科会「特許審査手続に係る権利制限について」『文化審議会著作権分科会報告書』(平成18年1月)7-12頁参照)。だから審査ではなく、世間に公開することを目的とした特許公報とは関係がないものなんだ。そもそも「非特許文献」の利用について検討したものであり、特許公報などの「特許文献」を除いていることからして、それは明確だ(もっとも、この法改正を要望した特許庁が、特許公報の掲載物の著作権が問題になることを認識していたのかどうか不明だが)

 結局特許公報に掲載された、弁理士などが作成した明細書等を特許電子図書館でアップすることは、出願時に明確な許諾を得ていたり、「出願者は、その著作権を放棄しているあるいは複製の黙示の許諾を与えていると擬制」(中山・前掲43頁)してはじめて正当化されるものであり、それがなければフライング状態ということになるだろう。もっとも、弁理士たちが監督官庁の特許庁に対して、特許公報による著作権侵害訴訟を起こすとは考えにくいが。いざとなったら「お前らの弁理士免許、誰のおかげで持っていられるんだ?」と国家権力を発動すればいいだけのことだろう。

 ちゅうーことで企業や個人は、引用や私的複製などの著作権制限規定をうまく利用して、特許公報を利用することだな!

Q37:著作権譲渡のおいしい投資話が来ているのですが…

:タイゾーさん、こんばんは。おれは六本木ヒルズ族になることを夢見ている投資家です。そんでもって、儲け話には結構敏感なんすよねえ~♪

 そんなおれっちに、最近おいしい話が来たんすよ。これ、いつもタダで著作権情報を教えてくれるタイゾーさんにだけの秘密なんすけど、とある有名な音楽アーティストから、その人が作った楽曲の著作権をまるごと破格の値段で譲渡してくれるっていうんすよ。彼によれば「JASRACに登録している楽曲の著作権は全部ぼくの手元にあります」「ぼくは音楽出版者とはインディペンデントなんで完全な著作権者です」と言ってから、「いまは節税するためにぼくの関連会社に著作権を預かってもらっていますが、この通りちゃんと文化庁で同社へのパーフェクトな著作権譲渡の登録をしています。」と著作権登録原簿の謄本を差し出しました。確かに謄本には1番目の権利者はそのアーティストで、2番目が彼の関連会社となっています。お金を振り込んだら、おれへの著作権譲渡の登録を文化庁でしてくれるそうです。

 おれはすっかり信用したんで、銀行やサラ金から借りてでも、このまるごと著作権を買い付けようと思ってんだけど、著作権のことよく分かんないんで、何か重要な点や注意すべき点があったら教えてくれや。儲けが出たら、ちょっとは分けてやっからよ!

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:儲け話か。俺様は1日に1回、吉野家の牛丼を食えればそれでハッピーだから、とんと興味はねえな。つか、手形や株券みたいに、音楽著作権の流通を投資の対象にするって言うのは、日本では聞いたことがねえなあ。

 秘密の話か。信用してくれてありがとな。つっても、このブログに書いた時点で、日本全国のピリ辛マニアに周知の事実となっているのだが(爆)。なんでかってーと、この話はかなりうさんくさいからだ。俺様の疑問点としては主に2点ある。

 第1に、「JASRACに登録している楽曲の著作権は全部ぼくの手元にあります」というのはありえないということだ。「Q36:ユーザーフレンドリーな音楽著作権管理会社を作りたいのですが…」で言ったように、JASRACは作詞家・作曲家又は音楽出版者(著作権者)との間で著作権徴収について裁量がある信託契約の受託者をしているのであり、単なるパシリ君ではない。そして著作権は名義上JASRACに移転している(いわば預かっている状態)から、著作権者(委託者)といえども信託法上、勝手に著作権を他人に移転することはできない信託法第146条第1項では「委託者の地位は、受託者及び受益者の同意を得て、又は信託行為において定めた方法に従い、第三者に移転することができる。」と規定しているように、著作権者はJASRACの同意を得ない限り移転できないわけだ。この点、JASRACの著作権信託契約約款では次のように規定されている。

(著作権の譲渡)
第10条 委託者は、第3条第1項の規定にかかわらず、あらかじめ受託者の承諾を得て、次の各号に掲げるときは、その著作権の全部又は一部を譲渡することができる
(1) 委託者が、社歌、校歌等特別の依頼により著作する著作物の著作権を、当該依頼者に譲渡するとき。
(2) 委託者が、音楽出版者(受託者にその有する著作権の全部又は一部を信託しているものに限る。)に対し、著作物の利用の開発を図るための管理を行わせることを目的として著作権を譲渡するとき。

 したがってこの約款によれば、てめえのような単なる投資家にはJASRACは著作権譲渡を同意せず、有名アーティストから著作権を譲渡されても無効ということになる。

 第2の疑問点は、文化庁の著作権登録についてである。だいぶ前に「Q2:著作権登録して大儲けをしたいのですが」でも答えたが、著作権法では著作権を取得するための登録制度はない。何度もいうが、登録せずに著作権が発生する(無方式主義)のが著作権の特徴だからだ(著作権法第17条第2項参照)。この点で特許権、実用新案権などの産業財産権と大きく違う。

 著作権登録には主に5つの登録制度がある。実名の登録、第一発行(公表)年月日の登録、(プログラム著作物の)創作年月日の登録、著作権・著作隣接権の移転等の登録、出版権の設定等の登録である。これらはいずれも事実の推定や権利変動の表示を登録するものである。詳細は文化庁ウェブサイト「著作権登録制度」を参照することだな。なおたまに著作権登録は複雑であるため活用されず著作物流通に支障が生ずるという誤報があるが、『登録の手引き』を読めば小学生でも申請書を作成して提出できるレベルとなっている。逆にこれを読んでも分からなければ、小学生やり直し!確定だがな。また登録費用(登録免許税額)は1件当たり、①で9000円、②で3000円、④のうち著作権の移転の登録で18000円となっており(登録免許税法別表第一)、それほど高額というものではない。

 これらのうち③を除いた登録の一部については、「著作権等登録状況検索システム」を利用して、登録番号・登録年月日・著作物の題号・著作者の氏名を調査することができる。ためしに、今話題の「小室哲哉」を検索してみると、52件ヒットする(2008年11月6日現在)。同じ著作物の題号が1曲につき作詞した分と、作曲した分の2つある場合(著作物の題号が同じもの)を含むことから、(著作物の種類はこの検索結果では分からないが)おそらく同氏が作詞・作曲したものが34曲分あると考えられる。登録年月日は、平成17年10月27日・平成17年11月25日・平成17年11月29日・平成18年7月5日・平成20年5月15日と5回分ある。

 しかし、小室哲哉氏のような超メジャー級アーティストが文化庁の著作権登録をするのはごくまれだろう。なぜならば、楽曲の著作権の状況は、JASRACなどの著作権管理団体でデータベース管理され、著作者等が使用料を受け取る分には、文化庁に登録しなくても支障はないからだ。ネットでも、前に紹介したMusic Forestや、JASRACJ-WID(作品データベース検索サービス)[JASRACサイトトップページの右上にバナーあり]がある。

 今回はJ-WIDで、小室氏の曲のうちかつてJR東日本のCMで使われた"DEPARTURES"について検索してみよう。作品タイトルに「DEPARTURES」、権利者名に「小室哲哉」と入力する。すると1件ヒットしクリックすると、権利者情報として「小室哲哉:作詞・作曲」「エイベックス・グループ・ホールディングス 株式会社:出版者」「全信託 JASRAC」と記載され、演奏から通信カラオケまですべてJマークが入っている。これは、著作権が小室哲哉氏から音楽出版者のエイベックスに移転され、JASRACがエイベックスからすべての著作物利用について著作権信託を委託されていることを意味する。ここで注意の欄の「未確定」マークに注目する必要がある(2008年11月6日現在)このマークは次の意味を有する

現在は権利が未確定な状態です。
未確定は大きく分けて以下の場合があります。
1)利用者情報で権利者からの届出がない作品
2)権利者からの届出が作品の一部についてであり、その他の権利が未確定の作品
3)複数の権利者からの届出で、権利者によって主張が異なり権利が確定できない作品

 したがって、この楽曲を利用したり権利移転するときは要注意ということになるだろう。

 今回の儲け話で関係あるのは、④の著作権の移転の登録だな(著作権法第77条第1号)。この登録の効果は、著作権の変動を登録することによって、その事実を第三者に対抗することができるということだ。これはちょうど、不動産に関する物権の変動の対抗要件として、民法第177条が「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」と規定しているのと同じことだ。

 このような権利の対抗関係は、著作権の二重譲渡がある場合に実力を発揮する。つまりだ、今回てめえが著作権の移転登録をめでたく受けた場合、登録を受けていないもうひとりの譲受人(音楽出版者)に対して著作権を主張できるということを意味する。民法の通説では、対抗できる「第三者」の意味としては、「登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する者」、具体的には、権利の二重譲渡があったことを単純に知っていた場合(悪意)も含むが、悪意を超えて相手方を害するなどの目的を有する背信的悪意者は自由競争の範囲を逸脱して保護に値しないとされている(大判明治45年6月1日など)。ちゅうことで、今回儲け話を持ってきた奴が著作権を二重譲渡していたとしても、著作権の移転の登録を先回りして済ませあんたが善意又は単純悪意者に該当すれば、もう一人の譲受人に勝てるということになる。

 もっとも、JASRAC等の管理楽曲について文化庁で著作権移転登録を済ませたからといって、二重譲渡の場合に著作権登録していない音楽出版者等に対して優位に立てるとは俺はあんまり思えない。なぜならば、さっきの小室哲哉の"DEPARTURES"のように二重譲渡などの権利の不確定要素があればJ-WIDなどのデータベースで「未確定」マークがつき、JASRACが利用者から徴収してきた使用料を、文化庁登録上の権利者(対抗関係の勝者)に素直に渡すとは考えられないからだ。権利が確定してから払いマースということになるだろう。そうなると、二重譲渡になるような曰くつきの著作権を買い取っても著作権料をゲットすることはできず、溝に金を捨てるに等しいと言える。せーぜい、裁判所に著作権登録の謄本を持参して差止仮処分の申立をし、JASRACから利用許諾を得たユーザーども(カラオケ店、レストラン、放送局など)の楽曲利用を一時的にストップさせられる可能性があるくらいだわな。

 なお、文化庁の著作権登録事務では、J-WIDで未確定マークがあろうが業界でやばい噂が流れていようが、原則として関係なく事務をすすめることになる。不動産登記と同じように、法律上書面審査だけで済ます形式的審査権しか与えられていないからだ。

 こんなこというと、「法律の不備だ!」「法改正だ!」あげくのはてにはユビキタスネット社会の制度問題検討会『ユビキタスネット社会の制度問題検討会報告書』(平成18年9月)のように、著作権の発生・延長・消滅を国の登録制度と結びつけようというデンパな主張が出てくることが容易に想像される。

 しかしそういう考えは、そもそも論として「方式主義」となり「無方式主義」を採用する国際著作権条約(ベルヌ条約、ローマ条約、WCT、WPPTなど)に反するおそれが高い。また国の著作権登録に実質的審査権を付与するためには、特許法のような権利審査制度・登録不服申立制度などを整え役所の組織や人員を拡充する必要があるが、それは現在の行政改革の流れに反するだろう。それにJ-WIDなどの民間業界の集中管理体制で十分な場合があるだろうしな。(吉田大輔「ネット時代の著作権56 『著作権に登録制』???」出版ニュース2006.10/中 20-21頁参照)。まあ、文化庁の著作権課が著作権庁に組織再編されたときに初代長官や審判長になるのもわるくはないかもしれねえがなw。

 ちゅーことで、今回の話に乗らないほうが、身の安全というものだぜぃ。

Q2:著作権登録して大儲けをしたいのですが

:ちょっといいですか~。わたしは昨年に会社を定年退職して、余生を日本の産業振興のために尽くそうと思っている町の発明家です。

 実はこの前、21世紀最大の大発明をしました。その名も「ダイエット茶碗」という名の商品で、ご飯をよそおった量を実際よりも多めに見せることで合理的にやせられるというものです。私は昨日特許申請をしに胸をはずませて特許庁に特許申請をしに行ったのですが、窓口で「う~ん、こういう芸術的なものは、著作権の方なのでは…」と言われ、審査も通らず登録されないのに印紙代を無駄にするのもなんなんで、取りあえずその日は申請は保留にしました。

 あと、発明の神様と言われるT先生(元国会議員)の御本で、著作権の申請は特許の申請より印紙代が安くて、町の発明家の財布に暖かいと書いてありました。

 そこでお尋ねですが、著作権を取るための申請の方法や、登録されやすいようにするためのテクニックを教えてください。なるべく早く登録して、ほかのやつに同じような発明をされないようにしたいので、至急の回答をお願いします。

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:俺様に至急の回答を求めるたあ、いい度胸をしているなあ。てめえが社会でどれくらい相手にされるのかを考えてから言ってほしいものだな。

 はっきり言うけどなあ「著作権を取るための申請の方法」ってない。著作権は著作物(思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの)を創作した時点で何の登録もなしに発生するものだ。著作権の登録制度は確かにあるが、それは公表年月日の登録や、ペンネームや匿名で公表したときのための実名の登録、出版権の登録などはあるが、これらはいずれも権利の公示をするためのものであって、権利の取得を目的とするものではない。

 こんなことを言うと、「でも登録をしないと、他人に権利を証明するのが難しいよねえ」と思うかもしれんが、著作権法上、著作物を提示するときに作成者名を表示していれば著作権者と推定されるので、その心配はいらない。逆に言えば、著作権登録をするときに担当省庁(文化庁)で内容を審査しているわけではないので、登録を以って証明できるといえない。現に、あるシンボルマークを著作権登録したけど、実はそれは他人がつくったもので、あとで登録を抹消したという事件があったほどだ(塩澤一洋「94 実名登録抹消登録事件―フジサンケイグループ事件(東京高裁平成9年8月28日判決)」別冊ジュリスト157号『著作権判例百選[第三版]』190-191頁(有斐閣、2001年)参照)。

 あとなあ、「なるべく早く登録して、ほかのやつに同じような発明をされないようにしたい」ということだが、著作権では特許権と違って、自分が権利を取得した後に似たようなものを作れないようにするという効果は発生しない。判例でもなあ、同一の著作物かどうかは類似性と依拠性の2つを基準にするといっている。だから、似ているだけではなく、お前が作った著作物を見ながらまねっこしたという事実がなければ、著作権を行使して作ってはだめだとはいえない

 つうことで、著作権と特許権はまったく違う性質の権利なので、特許申請がだめそうだから、著作権登録申請をしようという考えはさっぱり捨てることだな。